大隅半島
大隅半島の絶品と絶景
鹿児島県鹿屋市にあるチョコレート工房kiitosを取材するため、海を渡って大隅半島にやってきたMBC南日本放送の美坂理恵アナウンサー。旅は、桜島の麓にある錦江湾(正式名称は鹿児島湾)から始まりました。日本百景に選ばれるこの海は、大隅半島が生産量日本一である養殖カンパチの漁場としても知られています。穏やかな海を眺めていると、遠くの海面に黒い影が。「イルカがいますよ!」という美坂さんの声に目を凝らすと、湾内を泳ぐ野生のイルカの群れ(写真2枚目)を見つけることができました。ハセイルカとミナミハンドウイルカという2種類がいるそうで、彼らがこの海に定住していることは、自然豊かな環境であることを象徴しています。
【INDEX】
●これを食べなきゃ帰れない! 地元で人気の名物グルメ
―鹿屋市に来たら外せない【とんかつ竹亭のとんかつ定食】
―漁協直営だから安くて新鮮【みなと食堂のカンパチ丼】
●〝初めて〟をゆったり味わえる 新進気鋭の創作田舎料理「Bee」
●じんわり心を満たしていく 静寂閑雅な風景
―大隅半島の守り神【荒平天神】
―最新の〝映え〟なら【ツリーハウス(ユクサおおすみ海の学校)】
―無くてはならない心の拠り所【桜島】
これを食べなきゃ帰れない! 地元で人気の名物グルメ
―鹿屋市に来たら外せない【とんかつ竹亭のとんかつ定食】
(上)とんかつ定食 10種以上の定食メニューを揃える、行列のできる地元の人気店
鹿児島に訪れたのなら、とんかつを食べずに帰るわけにはいきません。訪れたのは、創業50年を超える名店「とんかつ竹亭」の鹿屋本店。厳選された鹿児島県産の上質な黒豚を熟練の技でサクッと揚げています。噛むと溢れるジューシーな肉汁には、豚肉本来の甘みと旨みがたっぷり!一皿でお腹も心も満たされます。とんかつ定食以外にも唐揚げやメンチカツなど10種類ほどの定食メニューが、お手頃価格で用意されていますよ。
「平日のお昼なのに、すごい行列でしたね。地元の方に人気なだけあって、すごく愛されているお店なんだなと感じました。いただいた(上)とんかつ定食は、ボリューミーなのに脂がしつこくなくペロリと完食してしまいました。何度でも通いたくなる味ですね!」(美坂さん)
とんかつ竹亭 鹿屋本店
鹿児島県鹿屋市西大手町9-15 TEL0994-43-3383
営業時間:11:30~14:00/17:00~21:30 定休日:火曜 ※詳細はお問合せください
―漁協直営だから安くて新鮮【みなと食堂のカンパチ丼】
かんぱち漬け丼定食(あら炊き、みそ汁付き) かんぱち炙り丼定食(あら炊き、みそ汁付き) 色々楽しめる定食や御膳のメニューも複数あります
鹿屋市は、日本でもっとも古いカンパチの養殖地とも言われ、全国の水揚げ量の約20%を占めるカンパチ王国。地元の方が太鼓判を押す、鹿屋市漁業協同組合の直営店「みなと食堂」では、水揚げしたての新鮮なカンパチをリーズナブルに味わうことができます。脂が乗った旨みたっぷりのカンパチはプリプリです!
注文したのは、みなと食堂の代名詞「かんぱち漬け丼定食」と「かんぱち炙り丼定食」。漬け丼は甘みのあるタレがよく染み込んでいて、炙り丼は特有の香ばしさと生とは違う食感を楽しめます。定食に付いてくるカンパチのお頭が丸々煮付けになったあら炊きは、迫力満点!ふっくら柔らかで、訪れたら必ず食べておきたい一品です。
みなと食堂
鹿児島県鹿屋市古江町7440-3 TEL0994-46-3020
営業時間:11:00~14:00 定休日:月曜 ※詳細はお問合せください
〝初めて〟をゆったり味わえる 新進気鋭の創作田舎料理「Bee」
落ち着いた空間で、地元食材を使った創作料理を楽しめる人気店 店主・蜂谷さんの名前から、店名の「Bee」が名付けられました 希少なナチュラルワインやクラフトビールも豊富にラインナップ
鹿屋市の中心街から少し離れた場所にある「Bee」は、創作田舎料理という独自のジャンルを掲げる人気店。店主・蜂谷拓広さんが、“生まれ育った街でこだわりの地元食材を使った料理を提供したい”という想いから2021年12月にオープンしました。初めて見る、味わう、Beeの独創的な料理の数々は、東京のさまざまな飲食店や、両親の営む鹿屋市の定食屋「この路」を経た、蜂谷さんの経験から生み出される料理とも言えます。ナチュラルワインやクラフトビールも豊富に取り揃えられ、「この料理にはどんなお酒が合いますか?」という会話も弾みます。
「在来・自然野菜の一皿」。根野菜は中心温度を徹底的に管理するなど、食感を残しつつ甘みを最大限に引き出すように調理 「熟成の刺身かんぱち」。熟成することにより、生の状態よりも旨みとコクが増しています 「サーモンのカルパッチョ」。酸味の効いたソースとの相性は抜群 「幸福豚のロースト」。ふくどめ小牧場のオリジナル種・幸福豚は、柔らかく旨みが凝縮されています 「古代米を使ったピラフ」。艶やかに炊かれた古代米は、鯛の頭で取った出汁がしっかり染み込んでいて旨味がたっぷり! 「kiitosのレアチョコレートケーキ」。Kiitosのチョコレートを使用した濃厚なケーキはお酒も進むデザートです
この日は、おまかせで料理を提供してもらうことに。「在来・自然野菜の一皿」「熟成の刺身かんぱち」「サーモンのカルパッチョ」「こだわりすぎたフレンチフライ」「幸福豚のロースト」「古代米を使ったピラフ」「kiitosのレアチョコレートケーキ」の計7品。1人でふらっと飲みに行っても、おまかせ料理は対応してもらえるそう。
2品目は、「半島産品アワード」で、半島は日本の台所賞も受賞した「熟成の刺身かんぱち」。錦江湾で育てられたブランド魚「かのやカンパチ」を独自技術「デキャンタージュ・メソッド」により熟成し、とろけるような食感と旨みを極限まで引き出した至極の1皿です。デザートは、取材でも訪れたkiitosのビーン・トゥ・バーチョコレートを使用した「kiitosのレアチョコレートケーキ」。上品で濃厚な味わいは、ワインなどのお酒にもよく合います。
中でも「一度味わったら忘れられない」と評判なのが、「こだわりすぎたフレンチフライ」。一見、ポテトを丸ごと揚げたような豪快な見た目ながら、その味はものすごく繊細。仕上げるまでに6工程、計2日間も手間暇をかけて作られています。カリッとしたポテトにナイフを入れると、なんと中はしっとり、程よくマッシュされた状態。口に入れると外のカリカリ×中の滑らかさが一体となっていき、しっかりとじゃがいもの美味しさが広がります。気付けば、あっという間にペロリ。思わず「もうひとつありませんか?」と聞きたくなるほど絶品です。
Bee
鹿児島県鹿屋市西大手町6-1瀬口ビル1階 TEL0994-43-3333
営業時間:18:30〜23:00 定休日:月・火曜 ※詳細はお問合せください
■公式Instagram(@bee_by_konomichi)
じんわり心を満たしていく 静寂閑雅な風景
―大隅半島の守り神【荒平天神】
「菅原神社」は学問の神・菅原道真公を祀っています 晴れた日には、桜島や開聞岳も見ることができます 島の中に本殿があります
通称・荒平天神の名で広く知られる、菅原神社。鹿屋市天神町、県道68号線沿いにある海に突き出した島に建立されています。菅原神社の目印は、砂浜に建てられた赤い鳥居。学問の神様・菅原道真公が祀られており、受験シーズンには地元の学生が多く訪れます。潮の満ち引きや季節によって、さまざまな表情を見せてくれる景観の美しさも魅力です。
「菅原神社は、鹿屋八景の一つに選ばれている景勝地だそうです。天気がよかったので桜島と開聞岳の両方を見ることができました。島の中にある社殿に行く道は、かなり傾斜があります。急階段の先にロープがかかっていて、ロッククライミングのように登っていくので、お参りをしたい方は是非動きやすい服装でいらしてくださいね」(美坂さん)
- 菅原神社(荒平天神)
鹿児島県鹿屋市天神町4014
―最新の〝映え〟なら【ツリーハウス(ユクサおおすみ海の学校)】
「ユクサおおすみ海の学校」の校庭にあるツリーハウス kiitosのチョコレートを食べながら一息つくのも◎ 晴れ渡る空に心が癒されます
菅原神社からは車で5分ほど。取材に訪れたチョコレート工房kiitosが店舗を構える「ユクサおおすみ海の学校」は、泊まれる学校として話題の宿泊施設です。(特集②でもご紹介しています)その校庭には、圧倒的なオーシャンビューが眼前に広がる、人気のツリーハウスがあります。鹿児島の大自然を、“日本一海に近い学校”で存分に味わって!
「真っ白なツリーハウスは空に浮かんでいるようで夢がありますよね。校庭が広々としていて、伸び伸びと走り回る空間があるので、子供が喜ぶ最高の遊び場になっていると思います。家族で訪れたいですね」(美坂さん)
- ツリーハウス(ユクサおおすみ海の学校内)
鹿児島県鹿屋市天神町3629-1
―無くてはならない心の拠り所【桜島】
噴煙立ち上る桜島は壮大 桜島港から鹿児島港へ20分ほどのフェリーの旅 間近で見ると、大地の力強さをひしひしと感じることができます
旅の終わりは、桜島。桜島港から鹿児島港へフェリーで海を渡りました。麓から桜島を見上げると、その偉大さを肌で感じます。現在も噴煙をあげ続ける活火山は、間近に見ると人間の手が加えられていない大地の力強さがそのまま残されていて、地球の歴史を味わうことができるはず。フェリーに乗り込み、デッキに上がるとだんだんと遠ざかる桜島の姿が見えました。
「鹿児島のニュースでは毎日、桜島の降灰予報をお伝えしています。農作物の収穫や交通状況に影響を及ぼすものではあるのですが、鹿児島県民はみんなこの山に愛着と誇りを持っています。垂水市出身の私も、帰省時に間近に桜島を見ると「地元に帰ってきたな~」という気持ちになります。大隅半島に訪れた際には、是非、この風景も心に刻み込んでもらえたら嬉しいですね」(美坂さん)
- 桜島 鹿児島県鹿児島市桜島横山町61-4
- 桜島港フェリーターミナル 鹿児島県鹿児島市桜島横山町2
※価格などの情報は取材時のものです。
撮影/吉澤健太<ロケ>、相沢琢磨<スタジオ> 取材・文/小石原悠介