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何これ!?「柿こーり」の新触感を徹底解剖します

和歌山県に次いで全国第2位の生産量を誇る柿の名産地、奈良県。なかでも五條市は、市町村別で生産量全国1位となった「日本一の柿のまち」なんです。1965年に石井商店としてこの地で創業した「石井物産」は現在、柿業界のパイオニア企業としてお菓子や加工品などの開発・製造を手がけています。奈良県出身で「果物の中でいちばん柿が好き!」という奈良テレビ放送アナウンサー・吉川奈央さんと新時代の柿スイーツを取材しました。

“五條の柿”と“吉野の葛”――2大特産品を掛け合わせて誕生した新感覚スイーツ

シャキシャキからトロトロまで、品種や完熟度によって甘さや食感も変わるところは柿の魅力のひとつ。これが好きな人にはたまらない味!…なのですが、苦手な人がいるのも事実。そんなイメージを石井物産の「柿こーり」は一気に塗り替えてくれます。

「柿こーり」は、葛の中に柿の実が入った半解凍スイーツ。冷凍庫から取り出して、半分程度が溶けたら食べごろです。驚くべきは柿の実の柔らかさ。シャーベット状の柿は口の中で溶けると滑らかな食感に変わります。それがぷるぷるとした葛の食感と調和して、和菓子のような洋菓子のような不思議なスイーツ体験を味わわせてくれるのです。

吉川さんも「シャリぷる食感が爽やかで、夏の暑い日には何個でも食べたくなってしまうスイーツですね」と満面の笑み。毎年旬の時季には必ず柿を食べるという吉川さんに「柿の甘さがしっかり濃厚。五條の柿はひと味違うなと改めて思いました」と言わしめるほどなのです。

PROFILE

石井和弘さん

1984年設立の「石井物産」3代目社長。「柿をステキな果物に」「柿を科学する」というコンセプトのもと「柿の専門」という屋号を掲げて、年間60種類もの柿商品を生産・販売。柿の魅力を追求した商品は、朝の情報番組『ZIP!』『満天☆青空レストラン』(ともに日本テレビ系)などでも取り上げられた。「地方創生大臣賞」「日本ギフト大賞」「ふるさと名品オブザイヤー」などを受賞し、全国から注目を集めている。

柿こーりを開発したのは、石井物産現社長・石井和弘さんの父である光洋さん。その商品ができるまでにはふたつのきっかけがあったと言います。

「ひとつは『冷やし柿』ができたこと。あんぽ柿を作る過程で偶然生まれた商品です。柿の渋みや乾燥具合をチェックする工程でできた、半熟のような干し柿が美味しくて、この味をそのまま届ける方法はないのかと考えました。そこで、豊作だった年に購入しすぎた柿を、乾燥の途中で瞬間冷凍してみたところ、今では1年先の予約になるほどの看板商品になりました。柿こーりには、同じ製法で作った冷やし柿が入っているんです。ふたつめのきっかけが、試作用ケーキを入れる柿型のカップが余ってしまったこと。この容器を捨ててしまうのはもったいないので、生かす方法を考えたんです(笑)。そうして生まれたのが、葛と柿という地元の味をこの容器の中で合わせてみるというアイデア。偶然が重なって生まれた商品ではありますが、五條市らしい商品を作ることができてよかったと思っています」

柿こーりを”カクテル”にして爽やかアレンジ

さて、冷んやりスイーツとしてそのままでも十分楽しめる柿こーりですが、石井社長のおすすめは、市販のサイダーで作る「柿こーりカクテル」。作り方はとっても簡単!

①半解凍にした柿こーり1個を6等分にカット
②グラスに入れて、柿こーりが浸る程度にサイダーを注ぐ

これで完成です。「カクテルにすると葛餅が全解凍になって、炭酸のシュワシュワ感、葛のトロトロ感、柿のシャリシャリ感と、それぞれの食感の違いを楽しむことができますね」(吉川さん)

オレンジ色の柿が美しく映えるこのドリンクは、石井社長のお子さんのアイデアから誕生したそうです。「子供のおやつによく柿こーりを出していたんですよ。『飲み物もほしい!』というので、サイダーを与えたところ、自分でこのカクテルを作っていました。『サイダーに入れたほうが早く溶ける』と言うんですね。それにカットするとジュワッと溢れ出す柿のピューレを、サイダーがこぼさず受け止めてくれるのできれいに食べられますし、柿こーりの食べ方としていいんじゃないかと思いました」(石井さん)

柿こーりの工場に潜入してみました

柿こーりの美味しさの秘密を探るべく、工場内を見学させてもらいました。まずは柿をカットする工程から。柿こーりに使われる柿は平核(ひらたね)無柿(なしがき)。その名のとおり種がない渋柿を、まずは乾燥&冷凍させて冷やし柿を作ります。甘み、フルーツ感、果実の色味などベストな状態に熟成された冷やし柿を11〜14g程度の大きさにカットします。まず半分にしてさらに3等分、ひとつの柿を6等分にするとだいたい規格のサイズに近いそうです。もちろん、ただ6つに切ればいいという簡単なものではありません。種なし柿と言っても、果実の中心部に小さな種が入っていることがあるため、取り除かないといけません。加えて、柿は渋が集まった部分は黒く変色してしまうため、成形していく過程でこれもカットする必要があります。また、石井社長は「切り方によって、柿がもっと美味しくなる」とおっしゃいます。「中心部はスカスカの食感になりやすいので、厚めに切って果実の外側はなるべく残すようにしています。外側は乾燥作業の際に空気にいちばん触れる部分なのですが、いい感じに水分が抜けて、プリッと薄皮のようになった食感が好評なんです」。

吉川さんも柿のカットに挑戦!

下ごしらえの工程を吉川さんが体験させてもらいました。これがなかなか難しく「規定の重さよりもどうしてもオーバーしてしまいます」と大苦戦。「元は同じ大きさの柿でも、乾燥にかけると温度や風の通り方などが違うため、冷やし柿になったときのサイズにバラつきが出てきてしまいます。どこに包丁を入れたら無駄なく切り分けられるかを考えなくてはなりません」(石井さん)

吉川さんが何度も秤に乗せて重さを確かめる隣で、従業員のみなさんはほぼ一発で計量クリア、トレイの上にどんどん柿を並べていきます。最盛期には一日に5000ピース以上を生産するということで、その鮮やかな手さばきにも頷けます。

「せっかくなので、自分でカットした柿を味見してみては?」との石井社長のお言葉に甘えて、冷やし柿を試食をさせてもらいました。「マンゴーのようにトロッとしていて、シャーベットのような口どけのよさもあります。生食の柿よりも、不思議とフルーツ感が増して感じられますね」と、その味に目を丸くする吉川さんでした。

柿こーりのもうひとつの主役は“葛”

カットした柿を包むのは吉野の特産品でもある葛。16世紀中頃に創立された歴史ある「森野吉野葛本舗」の吉野本葛が使われています。石井社長によると「この地域は比較的涼しい気候にあるため、葛の発育もゆったりしている。時間をかけて育てると葛のデンプンの粒子が細かくなるので、喉越しにも違いが出るんですよ」とのこと。ブロックで仕入れた葛にさらに寒天を配合し、食べたときにプルンとした印象が残るように少し硬めに仕上げているそうです。透明に練り上げられた葛はカット柿の入った容器に充填され、冷凍されます。

プロの手仕事、年間60品目を同じ工場で生産

完成した商品は、同じ工場内でどんどん箱詰め。緩衝材や説明書きを入れる係と商品を詰める係とに分かれて、2人1組で進めるのですが、この作業を機械化しないのにはわけがあるそうです。「ここは単に商品を収めるというだけでなく、品質管理の最終ラインになっています。機械だけでは判断できない部分を目視でチェックする。自信を持って商品をお届けできるのは、箱詰めする際にしっかりと安全を確認できているからなんです」(石井さん)

石井物産の商品は、柿加工品を中心に年間60品目を数えます。今回の取材中も柿こーりを作る傍で、柿もなかを生産していました。そのすべての商品に対して、石井社長と従業員のみなさんは、徹底した手仕事で向き合っています。その姿勢に「柿に対する愛情とプライドがあればこそですね」と吉川さんは感心しきりでした。

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“柿を科学する”っていったいどういう意味?→次のページへ

※価格などの情報は取材時のものです。

撮影/吉澤健太 取材・文/小石原悠介

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