丹後半島
愛情たっぷり!ジャージー牛の生乳から丁寧に作られる「ミルク工房そら」の手作り乳製品
青く透き通った海に、豊かに広がる田園風景。8月初旬に訪れた京都府久美浜町は、遠い日の夏休みを思い出させてくれるような懐かしい景色が広がっていました。穏やかな時間が流れるこの土地で、丹後ジャージー牧場は真摯に酪農に向き合っています。JALふるさと応援隊の京都府担当・小島月代さんと酪農の現場とそれを生かした商品作りに密着しました。
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約35頭のジャージー牛が大切に育てられる「丹後ジャージー牧場」に「ミルク工房そら」はあります
京都丹後鉄道かぶと山駅から車で3分程の場所にある、丹後ジャージー牧場。35~40頭程度のジャージー牛を、少人数のスタッフで大切に飼育しています。牧場の朝は早く、飼育スタッフが365日休みなく毎朝5時頃には清掃などの作業を開始。一頭一頭の体調管理には余念がありません。日中は立ち入り禁止区域外が常時開放されており、愛らしい牛たちの日常の姿を覗き見ることができます。取材に訪れた日は、夏休み真っ只中ということもあり、平日にもかかわらず家族連れや旅行者で大賑わい。初めて見るジャージー牛に目を丸くする子どもたちの姿が印象的でした。
牧場は予約不要&無料で見学できます 生後2ヶ月弱の子牛フィラちゃん、母の名はプーマ サマーカットの羊が迎えてくれました 週末はうさぎへのえさやり体験もあります(不定期開催)
丹後ジャージー牧場の原点は1949年。現社長の平林衛さんのご両親が、久美浜町で1頭の乳牛を飼ったことが始まりでした。その後、酪農組合を設立し、牛乳処理営業の許可を取得。地域のスーパーや学校給食に牛乳を供給する「平林乳業」が設立され、そこから牧場事業部門が独立するかたちで、2000年に現在の丹後ジャージー牧場が誕生しました。
伸び伸びと育った牛たちからは、毎日450リットルほどの生乳が採れるのだと、専務の平林学さんが教えてくれました。
「たくさん獲れているように聞こえるかもしれませんが、一般的なホルスタイン牛であれば、この約2倍の量が獲れます(ホルスタイン牛一頭あたりの乳量が約45リットルに対して、ジャージー牛は約20リットル)。餌の量はホルスタインもジャージーも変わらないので、コストはどうしてもかかってしまうんですよ。それでも美味しい牛乳を届けたいという一心でジャージー牛の飼育にこだわっています」
牧場全体の面積は1ヘクタールほどで、他の牧場と比べてみると規模は小さめ。今後も、牧場の規模拡大は考えていないと話します。
「飼育頭数を増やせば、より多くの牛乳が生産できるかもしれません。ただ、いままでおこなってきた丁寧な管理が難しくなってしまうんです。私たちにとって牛たちは一頭一頭に名前をつけて育てている大切な家族。彼女たちの恵みが牛乳になっているんです。牛に対する感謝はいつまでも忘れず取り組んでいきたいと思っています」
―「ミルク工房そら」は「丹後ジャージー牧場」のすぐ隣に併設されています
丹後ジャージー牧場のすぐ隣にある「ミルク工房そら」は2004年にオープンし、ジャージー牛乳を使った加工品を製造販売しています。2009年からは、イートインも楽しめるカフェもスタート。週末限定のピザランチも大盛況です。平林さんにカフェ事業を始めた経緯について聞くと「牧場のそばにカフェを併設するというのは、意外にハードルが高いことなんです」と教えてくれました。
「牧場の臭いが届いてしまうので、美味しさだけを伝えるのなら、少し離れたところにお店を構えるのがふつうなんです。でも、ミルク工房そらの主役は牛たち。どういう過程を経て、1滴のミルクが絞られたのかを見て聞いて、五感で感じていただけた方が、私たちの想いは伝わるんじゃないかなと思いました」(平林さん)
イートイン、テイクアウトともに商品は充実しており、搾りたての牛乳はもちろん、ヨーグルトやプリン、チーズや焼菓子まで、ジャージー牛乳づくしのラインナップが揃っています。
―1番人気の「ソフトクリーム」を、贅沢に“ソフジェラ”(ソフトクリーム×ジェラート)でいただきました
店内に入るとバラエティ豊かなアイスクリームのショーケースに目が釘付けに。JALふるさと応援隊の小島さんは、イートイン1番人気の「ソフトクリーム」に2種のジェラートー大好きだという「チーズ」と“幻のメロン”と呼ばれる丹後半島特産の「新芳露メロン」ーの贅沢なトリプルの“ソフジェラ”をいただきました。まるで欧米のアイスクリームショップで食べるような、たっぷりの盛り付けに自然と笑顔が溢れます!
「ソフトクリームやジェラートに使われているのはすべて同じジャージー牛乳なのに、それぞれ違ったミルク感があって驚きです。ソフトクリームは、しっかりとしたコクがあって濃厚。それなのにすっきりとした後味で、余計な甘みが残りません。ジャージー牛乳自体の甘さが感じられる味わいでした。チーズもあっさりとした口当たりですが、後味にしっかりとチーズを感じます。鼻をふっと抜けるチーズの香りがたまりませんね。メロンは『ミルクとこんなに相性が良いなんて!』という発見がありました。ジェラートなのに、メロンの果実そのものを食べているかのようなフルーツ感です。丹後ジャージー牧場のミルクは主役にもなれるし、素材の味を引き立てる名脇役にもなれるところがすごいですね!」(小島さん)
※丹後半島の特産品〝幻のメロン〟新芳露メロンについては、次ページで詳しくご紹介しています。
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採れたて生乳で作る「ミルク工房そら」乳製品セットはすべてが手作りです
「ミルク工房そら」乳製品セット ジャージーミルクジャム そらのミルクバター ジャージーミルクピス
―2代目が最初に完成させた商品、優しい気持ちになれる無添加「ジャージーミルクジャム」
ミルク工房そらのオープン後、専務・平林さんのご両親で現社長の平林衛さん・文子さん夫婦が最初に商品化し、看板商品となった「ジャージーミルクジャム」。その特徴は、キャラメルのような美しい色合いからもわかる通り、ミルクの味がギュッと濃縮された味わい。まるで練乳のように濃厚な甘みながら、後味がしつこくなく、思わず、たっぷりと使いたくなってしまうジャムです。
質感はクリーミーでなめらか。どんなパンにも引っかかりなくスーッと広がります。このジャムのおすすめの食べ方は、なんと紅茶に溶かし入れること。ジャージー牛乳の風味が漂う、贅沢なミルクティーになりますよ。
ミルクジャムの材料は、とにかくシンプル!ジャージー牛乳、ジャージー牛乳から作った生クリーム、そして砂糖の3つだけ。それを火にかけてコトコト6時間煮詰めていきます。平林さん曰く、製造過程での難関はジャムの固さの見極めにあるのだそう。
「一度に仕込む量は牛乳45キロで、250個のミルクジャムを製造。この作業を月に1~2度おこなっています。鍋に火をかけたら目を離すことはできません。温度が上がり過ぎると、焦げたり、水分と固形部分が二層に分離してボロボロになってしまうんですよ。トロっとした柔らかい質感に仕上げるには、見守りつづけることが大切なんです。これが夏にはなかなかの重労働になります(笑)」(平林さん)
現在、かき混ぜる作業は自動化されたものの、それ以外の工程は、今も瓶詰めに到るまですべてが手作業。こうした丁寧な手仕事によって、温かみのある素朴なミルクジャムは完成します。
―材料は生乳とお塩だけ 濃厚なジャージーミルクを感じられる「そらのミルクバター」
ジャージー牛乳は一般的なホルスタインよりも乳脂肪分が高く、それがミルク自体の味の濃さに繋がっています。この特徴を最大限に活かした商品が「そらのミルクバター」。この乳脂肪分の高さが味の決め手になっています。アクセントは、京丹後市の琴引浜の海水を使った「琴引の塩」。まろやかで程よい塩味が、バターの風味をいっそう引き立ててくれます。その質の高さは折り紙付きで、京都市内の一流シェフたちから料理に使いたいとの声がかかるほど。パスタなどの仕上げの乳化に使うと、よりコクが増して美味しく仕上がるそう。
このバターを存分に味わうなら酸味の効いたハード系のパンにつけて食べるのがオススメです。平林さん曰く、京丹後市で大人気のパン家「農家パン弥栄窯」のカンパーニュ・ビオと合わせると、最高に美味しいのだとか!
バターも1日をかけて、手仕込みで作られています。まずは、ジャージー牛乳からできた生クリームを遠心分離機に投入し、手動でぐるぐると回しながら、固形の脂肪分と脱脂乳に分けていきます。分離の作業はそれだけで終わらず、木べらで手練りしてさらに脱水。ここに琴引の塩を加え、再び手練りをします。徹底的に水分を除いた結果、20キロの生クリームが約11キロのバターに生まれ変わるのです。ミルクバターを製造するときのポイントは、温度管理がすべてだと平林さんはいいます。
「バターの製造過程において、温度管理は鬼門です。温度が高いとドロドロのなってしまいますし、低いとカチカチで練ることができません。途中、バターの臭みを取るため水で洗うのですが、その水温にも気をつけないと理想的なバターの固さになりません」(平林さん)
―2日かけて作られる、イートインでも人気の濃縮乳酸菌飲料「ジャージーミルクピス」
ミルクを乳酸発酵させた濃縮原液を、水などで割って楽しむ「ジャージーミルクピス」。同じく割りものを入れて飲む、あの有名な乳酸菌飲料と比べると、牛乳の風味がしっかりとしており、酸味の柔らかい味わいになっています。ミルク工房そらのカフェで提供している割り方は、水、お湯、炭酸水、そして牛乳という4種類。なかでも牛乳割りは、濃厚なミルクピスをさらにコク深くしてくれます。同カフェの牛乳割りが特別なのは、牛乳がジャージー牛乳であること。市販の牛乳を使うよりも、さらに濃い味に仕上がっています。
ミルクピスは、生クリームからバターを作る際にできた脱脂乳に乳酸菌を入れて作られています。1日寝かせた発酵乳に加えるのは、なんと砂糖だけ。毎週日曜日に90リットルを仕込み、260本の製品を作るそうです。
「40度の温度で3時間程度かけて発酵を進めていきます。牛乳のクオリティが高いので、あとは乳酸菌に仕事をしてもらうだけ。余計な手を加えなくても美味しい商品になるんです。こちらの商品もすべて手作業で製造しているのですが、瓶詰め作業は地味に大変。背丈の高い瓶にひとつずつトロトロの液体を入れるのは、なかなか手間がかかります」(平林さん)
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「ジャージーミルクジャム」「そらのミルクバター」「ジャージーミルクピス」の美味しさをJALふるさと応援隊・小島さんが現地レポート!
ミルク工房そらに並ぶミルクジャム、ミルクバター、ミルクピスをJALふるさと応援隊の京都府担当の小島さんが店内で試食しました。
―まずは、ミルクジャム。食パンにつけてパクり。
「優しい甘さで、ひと口でミルクの風味が口いっぱいに広がります。深い味わいがあるのですが、口溶けはあっさり。全然しつこくないので、飽きずに食べ進めることができますね。香りも華やかでふつうのパンにつけているのに贅沢な気分になります」
―ミルクバターは、ハード系のパンに塗っていただきます。
「バターといえばもう少し硬めのものをイメージしていたのですが、ミルク工房そらさんのミルクバターはとってもクリーミー。その上、とても軽くて、口の中でスッと溶けていきます。琴引の塩が効いていてミルクがふわっと香った後にしっかりと塩味が感じられます。パンにつけるだけでなく、カレーの隠し味やパスタのソースを乳化させるときにも使えるということで、調味料としてもいろいろなシーンで活躍してくれそうです」
―ミルクピスは、ミルク工房そらでしか味わえない搾りたてのジャージー牛乳割りで。
「とにかく濃厚! 飲むヨーグルトのようなトロトロ感があります。でも、ヨーグルトのような酸味はなくて、牛乳感がすごく引き立っていますね。自然な甘さがあって、お腹にも優しい味です。牛乳の新しい魅力を知ることができたような気がします!」
次のページ⇒すべては〝ジャージー牛の生乳を廃棄したくない〟という想いから
ロスを無くすための試行錯誤からうまれた、SDGsな商品づくり
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※価格などの情報は取材時のものです。
撮影/内藤貞保 取材・文/小石原悠介