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スペシャル記事

女優・黒谷友香さんが体験した
半島で実現する“新しい働き方と暮らし方”【後編】

若い世代の二拠点&移住が増えているという、和歌山県・すさみ。「また訪れたくなる」理由は、温かい町のムードにもあるようです。

PROFILE

黒谷友香

1975年生まれ、大阪府出身。19歳で映画「BOXER JOE」に出演し、女優活動を開始。以後、映画・ドラマ・CM・雑誌等幅広いジャンルで活動。20代前半で房総半島に一軒家を購入し、東京との二拠点生活をスタートさせ、現在まで25年以上続けている。2022年6月、「ペニンシュラ応援大使」に任命。半島地域の活性化のため、イベントなどで活躍中。
公式サイト

半島地域って実は「二拠点生活」にぴったり。その理由は“人の温かさ”にあるらしい

白浜町に隣接する「すさみ町」。この町に大阪から移住し、観光案内所「FRONT110」を立ち上げた源口(みなぐち)葉月(はづき)さん。若くして二拠点&移住を実践したふたりが“半島生活”を決めた理由とは?

東京&房総で暮らす黒谷さんが、大阪から和歌山に移住した源口さんと“二拠点生活”トーク

黒谷さん:和歌山県は何度か訪れたことがありますが、すさみ町は初めて。海に浮かぶ稲積島の景色は絵画みたい。源口さんがこちらに暮らし始めてどれくらい経つんですか?

源口さん:約2年です。私は大阪出身で、最初の1年は大阪とすさみ町の二拠点生活。今は用事があってたまに大阪に戻るくらいで、生活の拠点はすさみ町。黒谷さんは、すごく若い頃から二拠点生活をされているんですよね?

黒谷さん:19歳のときに房総半島で乗馬をしたことがきっかけで、東京と房総半島の二拠点生活をスタートしました。それからずっとなのでもう25年以上。続けているというか、“ごく自然に続いてきた”という感じです。

源口さん:房総半島への“移住”は考えていないんですか?

黒谷さん:私の場合は仕事に集中できる東京、自然を愛でながら暮らす房総半島、2つの拠点があってこそ自分らしくいられる。どちらかだけという選択肢は、今のところ考えていなんです。源口さんがすさみ町に移住したきっかけは?

源口さん:元々、奈良県でタウン誌を作る地域企業で働いていました。当時、地元の農家の方に取材などをしていたのですが、ゼロから物作りをするこだわりや経験を積んでこその知恵や勘、生き様が本当にかっこよくて。“地に足のついた、そんな生き方をしてみたい”という憧れから退社。同じ年の夏に、すさみ町に移住していた会社員時代の後輩を訪ねてこの街に遊びにきたのですが、サーフィンで鎖骨を折ってしまい……。そのとき町の方々にすごくお世話になったんです。皆さん本当にあったかくて。すさみ町を盛り上げようという地元の人の想いにも触れ、大阪に戻った入院中に気が付いたら“すさみ町の可能性”について考えている自分がいました。

黒谷さん:運命的ですね。直感とか相性のよさって、二拠点や移住を考えるうえですごく大切な気がします。もちろん、それぞれの生活スタイルで決断が難しい場合もあるけれど、感性の反応って正直だなと思うんです。私も初めての房総半島で抱いた“ここに暮らしたい”という想いが今まで変わらず、途切れず続いている。当時、乗馬を教えてくれた方の“人と植物と動物が共存する”という理念が響いて、それが房総半島に居を構えるきっかけに繋がっています。やっぱり、人の力も大きい。今日もFRONT110を訪れてすぐ、この町の人の温かさが伝わりましたよ。皆さん笑顔が素敵で穏やかで、親近感もたっぷり(笑)。

源口さん:嬉しいです! 今日はすさみ町の役場の方もお手伝いに参加してくれているんです。黒谷さんに会いたい、というのも大いにあると思いますが(笑)。

黒谷さん:役場の方まで! ありがたいですね。絶景の広がる芝生でのバーベキュー、美しい海でのSUPやサイクリングにキャンプ。FRONT 110のような、親しみやすい方々が運営する、地元の魅力を存分に楽しめる体験をプロデュースしてくれるスポットがあると、その土地に観光以上の興味や愛着が湧きそうです。

源口さん:ありがたいことに、FRONT110のスタッフとのコミュニケーションを求めて、すさみ町に遊びに戻ってきてくれる方も多いんです。FRONT110はすさみ町に愛着を持っていただき、訪れる方と地元の人の温かい繋がりを育む場所でありたい。2階にはコワーキングスペースもあるので、二拠点や移住を考えている方に“すさみ町で暮らす、働く”のリアルな提案も行なっています。

黒谷さん:コロナ禍をきっかけに、働き方や暮らし方、人とのコミュニケーションを見直したり、自然の癒やしの力を求める方が増えましたよね。人間の本質と向き合うというか。私も仕事が忙しくても心健やかにいられるのは、房総半島での馬や自然との触れ合い仲間たちとの時間の力が大きいと思っています。

源口さん:わかります。私は不便さを楽しむ今の暮らしがすごく肌に合うし、やりがいも感じているんです。すさみ町は知らない人はいないぐらいの小さい町。仕事が終わって家に帰ると、近所の農家の方が玄関前にお米を置いといてくれたりする。せっかくだから大切に味わって食べよう、その親切を何かで返そうと、思いやりが循環するのも、すさみ町に住む幸せ。お節介をやいてくれる人がいるありがたさを感じます。

黒谷さん:思いやりも環境も循環するって心地よい暮らしに大切なことですよね。豊かな自然の中での温かなコミュニケーションは、心の余裕も育んでくれるような気がする。海がきれいで、大好きな馬や可愛い動物に触れ合えるアドベンチャーワールドも近くにあって。1日では足りないくらい魅力がいっぱい。すさみ町にまた遊びに来たいなって素直に思いました。

源口さん:ぜひ! 冬はバーベキューメニューにイノブタとレタスのしゃぶしゃぶが登場しますが、絶品です。すさみ町はレタス発祥の地でもあるんですよ。

黒谷さん:知らなかった! そういった新しい学びや出会いも、二拠点生活や移住の魅力ですね。

PROFILE

源口葉月さん

地域コーディネーター。大阪とすさみ町の二拠点生活を経て、約1年前にすさみ町へ移住。観光案内所「FRONT110」の立案者であり、すさみ町の活性化に向けてイベントやコワーキングの提案など、積極的に活動。

紀伊半島の“美味しい”を絶景とともに堪能

FRONT110は稲積島の目の前。太平洋に浮かぶ稲積島と海のブルー、グリーンの芝生の美しいコントラストの中で、バーベキューを楽しむことができます。キャンプグッズはすべてレンタルでき、地産地食の食材セットの販売もあるので、他の好みの食材やドリンクなどを用意すればあとは手ぶらでOK。すさみ名産のイノブタ、初めて食べる黒谷さんの感想は? 「全然クセがなくて柔らかくて、すごく美味しい。この景色がその感動を数倍にもしてくれますね」。

地元サイクリストとのオーダーメイドツアーも!

電動アシストユニットを取り付けたbenelliのE-BIKEとロードバイクもレンタルできる、“すさみ町巡り”もFRONT110のおすすめメニュー。太間川の渓流遊びや熊野古道の入り口でのお参りをコースに入れた、地元サイクリストと巡るツアーも人気。「ゆっくり景色が流れる自転車って、美しい自然をのんびり楽しむのに最適。海岸沿いを散歩するだけでも気持ちいいですね」(黒谷さん)。

青空のもと、爽やかな海風に開放感に浸る黒谷さん

FRONT110

和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見4581-14 TEL0739-34-3200
営業時間9:00〜18:00 年中無休
ビーチキャンプ、SUP、サイクリング、カヤックなど、すさみ町の自然と食を堪能できるメニューを豊富に用意。

たまに雄大な景色を眺めれば、きっと自分を見つめ直す時間にもなります

自然が生み出した偶然の美しさ。紀伊半島・すさみ町や南紀白浜空港周辺にも、一度は見ておきたい心洗われる絶景がたくさん。眺める時間に日本の魅力を再確認、自分を見つめ直すひとときにもなりそうです。


紀伊半島の先へ進むと出合える、大人のための絶景カフェ「BUSH DE COFFEE」

すさみ八景和歌山県朝日夕陽百選にも選ばれる、婦夫波(めおとなみ)観潮・恋人岬にある「BUSH DE COFFEE」。婦夫波は狭い海峡に東西から寄り添うように打ち寄せ合う波の様子からネーミング。カフェの店内に入るとすぐに広がる、太平洋の大パノラマ。窓側のカウンター&テラス席からは、遠くを眺めれば穏やかな海、真下を見れば岩に打ち付ける荒々しい波と、海の二面性を楽しむことができます。

紀州梅、ひじき、みかんなど、地元の食材を新鮮にアレンジしたピッツァやパスタが人気。「地元の特産品を昔ながらの食し方にこだわっている人たちに、食材の新しい可能性をもっと知ってほしい」というオーナーの想いが投影されています。

婦夫波は、狭い海峡に東西から寄り添うように打ち寄せ合う波の様子からネーミング。夫婦やカップルにも人気のスポット。スタッフのおすすめは「冬のサンセット。海に夕陽が映って見える“ダルマ夕陽”は、感動の美しさです」とのこと。

BUSH DE COFFEE

和歌山県西牟婁郡すさみ町見老津2-1  TEL0739-33-7400
営業時間11:00〜18:00 木曜休み
ママと子供たちがのんびり食事を楽しめる広いキッズルームも人気。

南紀白浜空港の周辺ではさらなる絶景に出合えます

雄大&迫力の景勝地、縁結びスポットとしても話題の「三段壁」

高さ60m、長さ2㎞に及ぶ迫力溢れる断崖絶壁の名勝「三段壁」。南紀白浜の雄大な自然を臨めるこの場所は、2016年に恋人の聖地に認定されカップルにも人気の観光名所。展望台のエレベーターで地底36mにある「三段壁洞窟」の散策もでき、洞窟内には日本最大級の青銅で作られた牟婁大辨才天が鎮座。パワースポットとしても有名です。

  • 三段壁
  • 和歌山県西牟婁郡白浜町2927-52 TEL0739-43-6588(白浜町観光課)
  • 無休 無料(三段壁洞窟は大人¥1,300、小人¥600、営8:00〜17:00、最終入場16:50 ※三段壁洞窟TEL0739-42-4495)


白浜のシンボル「円月島」。夕陽が円と重なる神秘の瞬間を求めて

臨海浦に浮かぶ南北130m、東西35m、高さ25mの無人の小島「円月島」。正式名称は「高嶋」といい、海蝕による中央に空いた円月形の穴がネーミングの由来に。「自然が織り成したユニークな造形美。徐々に形を成していくストーリーを想像するのも楽しい」と、黒谷さん。白浜町のシンボルとして愛され、和歌山県だけでなく日本夕陽百選にも選ばれています。夏場は、円月形の穴に夕陽がちょうど重なるファンタジックな瞬間を目撃できることも。

  • 円月島
  • 和歌山県西牟婁郡白浜町臨海 TEL 0739-43-6588(白浜町観光課)


太平洋に向かって迫り出す4ヘクタールの大岩盤「千畳敷」

海に下っていくと、砂岩の断層の様子などに触れられる

太平洋に突き出すように広がった岩が、長年打ち寄せる波の浸食によって畳のような形状を生み出した「千畳敷」。4ヘクタールにも及び、畳状の柔らかい砂岩が並び“畳が1,000枚敷ける”ことから名付けられました。自然が生んだ芸術ともいえる美しい岩の形状は、ファッション誌の撮影にも使用される“映えスポット”。夕景も素晴らしく、円月島とともに国の名勝にも指定されています。

  • 千畳敷
    和歌山県西牟婁郡白浜町2927-72 TEL 0739-43-6588(白浜町観光課) 無料


写真提供:南紀ウエルネスツーリズム協議会

日本航空は南紀白浜空港を拠点にして地域活性化を推進しています

羽田と南紀白浜を結んで55周年を迎える日本航空では、魅力的な地域の資源を生かしたコンテンツの開発にも力を入れています。 たとえばEバイク(電動アシスト付きマウンテンバイク)。「南紀熊野ジオパーク」を地元ガイドの説明を聞きながら回ったり、南紀白浜空港で普段は体験することのできない搭乗ゲートでのアナウンスや空港施設の裏側を見学できる体験付サイクリングツアーの実証事業を地元の南紀ウエルネスツーリズム協議会と進めています。現地では南紀白浜空港、上富田町、すさみ町、古座川町それぞれでEバイクを貸し出し、自治体間で連携して乗り捨て可能な仕組みも整備されています。

実施中のツアーの詳細はこちら
Eバイク貸出(KMICH)の詳細はこちら

黒谷さん衣装/ブラウス、ジレともにstefania carrera パンツ BOGNER バッグ CHILA BAGS ネックレス、イヤーカフ、リングすべてVENDOME BOUTIQUE ブレスレット、リングともにL.A.H.
※すべて記事公開時のものです。商品は販売終了している場合があります。

撮影/福本和洋 ヘア・メーク/Nico スタイリング/越水史子 取材・文/櫻井裕美

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