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秋の気配漂う「アジフライの聖地」をぶらり巡礼

松浦市が「アジフライの聖地」を、宣言したのは2019年4月のこと。以来、自治体、地域企業やメディアなどが連携して、関連グッズの作成や、イベントやキャンペーンの実施、石工モニュメントを設置するなど、多角的な取り組みで盛り上げています。プロジェクトは功績が認められ、国土交通省などが主催する「地域づくり表彰審査会」特別賞をはじめ、多数の賞を受賞。西九州自動車道が松浦ICまで開通したことも後押しとなり、松浦市の観光客数は大幅に拡大しました。

「せっかく聖地に来たのだから、アジフライで存分にお腹を満たそう」ということで、取り出したのは松浦市が製作したアジフライマップ。市内にはマップ掲載店舗が約30あり、新鮮なアジフライをどこでも楽しむことができるとのことです。知る人ぞ知るアジフライを求めて、長崎出身のフリーアナウンサー・前田真里さんと聖地巡礼スタートです。

至高のアジフライを求めて見つけた「うなぎ屋」と「海上屋台」

まず訪れたのは、松浦駅から4分程度のところにあるうなぎ割烹 和(なごみ)。店構えはシックで上品。店内は明るく落ち着きある空間になっています。看板商品はもちろんうなぎなのですが、この店のアジフライも絶品なんです。使っているのは松浦産の活きアジ。店内の生簀で管理されており、お造りでも出される鮮度抜群なものを提供しています。

今回は「活きアジフライ御膳」をいただきました。まるまる一尾を贅沢に使った定食で、オーダーの際にオールフライ(全部をフライにしたもの)か、ハーフ&ハーフ(半身は刺身で、半身はフライ)を選ぶことができます。前田さんはオールフライをチョイス。

「新鮮な活きアジを使っているので、臭みがまったくありません。味もさることながら、盛り付けもゴージャス。アジ一尾ってこんなに量があったんだという驚きがありますね。一口大にカットされて食べやすいところに、お店の気遣いを感じます」(前田さん)

次に訪れたのが、鷹島にある海上屋台 三軒屋。佐賀県備前町から長崎県鷹島を繋ぐ備前鷹島大橋を渡って、車で10分ほどの阿翁浦漁港内にあり、ツーリング客の憩いの場にもなっています。この店の売りはなんといっても、船の上で新鮮な魚料理をいただけるということ! 店内は広々とした作りになっており、バルコニーテーブルも完備されています。穏やかな海の上で潮風を感じながらのランチは、ここでしか味わえない特別な経験になること間違いなし。

地元の獲れたてをサクッと揚げたアジフライは、顔が隠れるのではと思うほどのビッグサイズ。前田さんは「食べやすく半身にされたフライも魅力的ですが、大判のものも豪快でいいですね。ふわふわとして、ほのかに甘みを感じるところも松浦のアジならでは」と、大満足の様子です。

この店のもうひとつの名物が、アジ、イカ、タコなどが乗った海鮮丼「魚島来めし(おとこめし)」。特製のゴマだれを丼にかけていただく漁師飯は、名前の荒々しさに比べると、優しくて繊細な味わいになっています。じんわりと広がるゴマの香りが、とても上品で、女性にも喜ばれること間違いなしです。この丼の締めは、魚でとっただし汁をかけてお茶漬けに。ゴマだれが出汁に溶けたスープは、すっきりとしていて、ご飯がさらさらと食べられてしまいます。

Tシャツにピンバッジなど、可愛いアジフライグッズがずらり

「松浦にきた観光客をもっと喜ばせたい」という思いで制作されたオリジナルグッズも観光客誘致に一役買っています。バックプリントにアジフライの作り方が描かれたTシャツや、デニムカラー、ライトグレー、ナチュラルと種類豊富なトートバック。ほかにもクリアファイル、ピンバッジなども商品化されています。

これらは、福岡在住のイラストレーター・NONCHELEEE(ノンチェリー)さんがデザインしたもので、おしゃれ好きのあいだで密かな話題に。アジフライの聖地グッズは、市外のイベント会場で発売されることもあるものの、基本的に松浦の限定販売品。志佐町の「Matsuo Nouen+Coffee」や調川町の松浦魚市場内の「旬市場」で購入可能なので、ぜひ立ち寄ってみては?

また、松浦魚市場の場内入り口には、冷凍アジフライの自動販売機が。福岡の水産会社「三陽」が運営をしているもので、福岡県の博多駅、天神南駅、薬院駅などに設置されて人気となっています。その味は自販機だからと侮ることなかれ。三陽のグループ会社は松浦港に水産加工場を持っています。そこで水揚げしたばかりのアジを加工・冷凍しているため、鮮度抜群で、本格的なアジフライを楽しむことができるのです。

伊万里湾に浮かぶ島々を眺められる絶景スポット

佐賀県伊万里市の北西にある福島大橋を渡ると長崎県松浦市福島町があります。伊万里湾の玄海国定公園に指定されているエリアにあり、広さは東西6キロ、南北7.3キロほどの大きさの島です。そして周囲には大小48個の島が。これらはいろは島と呼ばれ、この景観を見るために島に訪れる人も多いのだとか。

この島の景色を一望できるのが大山展望所です。伊万里湾を挟んで、長崎県の松浦市、佐世保市、佐賀県の伊万里市、唐津市まで見渡せる福島町の観光地になっています。公園には、ソメイヨシノや山桜などが約800本植樹されており、桜の名所としても知られています。春には、満開の桜といろは島の景色を一緒に楽しむことができる絶景スポットに。3月末から散り終わりまでは夜桜ライトアップを実施しているおり、人気を博しています。

「長崎県が『日本一島の多い県』だということを実感させてくれる景色ですね。10月半ばにお邪魔したので、桜はもちろん咲いていない…と思いきや、まさか咲いていました! 十月桜という種類とのことで、公園内に40本植樹されているそうです。こんなサプライズに出会えるなんてすごくラッキーでした」(前田さん)

福島町の中央西部にある土谷棚田(どやたなだ)は、写真好きから支持されている「日本の棚田百選」に選ばれている観光スポットです。明治時代から昭和初期に開墾された棚田で、平均傾斜角15度。約15ヘクタールの斜面には約400枚の田んぼが広がっています。

「海岸まで続く一面の田んぼと、青く抜けた空を見ていると、思い切り深呼吸したくなります! 土谷棚田が、棚田百選のなかでも屈指の美しさだと言われるのに納得です。ちょうど稲刈りを終える時期だったので、空を映す水鏡のような棚田を見ることはできませんでしたが、刈り終えた田んぼの景色には秋の趣があって素敵だなと思いました」(前田さん)

また、毎年9月には「土谷棚田の火祭り」が開催。2003年から祭りで、棚田の美の保全を訴える目的で、田んぼの畔に三千本の灯りを置いたことが、この祭り発祥のきっかけになったそうです。地形を活かしたイルミネーションは、2012年に日本夜景遺産(ライトアップ夜景遺産)に登録されたほど。秋の夜を彩る幻想的な風景は、一見の価値ありです!

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