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近代日本始まりの地・下田のストーリーを堪能できる

ご当地パン1位に選ばれた「ハリスさんの牛乳あんパン」

南伊豆・下田は、ペリーの黒船来航で鎖国を解いた近代日本の始まりの地。歴史の香るこの港町で、地元の人たちから愛されている名物が「ハリスさんの牛乳あんパン」です。この商品を手がける平井製菓は、創業70年を超える老舗の和菓子屋。静岡グルメをこよなく愛するテレビ静岡のアナウンサー・大森万梨乃さんが、名物あんパンの美味しさの秘密に迫ります。

PROFILE

平井製菓/車澤正登さん

1948年(昭和23年)創業の和菓子店・平井製菓の4代目社長。全国菓子大博覧会金賞を受賞した銘菓・天城路をはじめ、季節の和菓子や和風ロールケーキなど、さまざまな商品を販売している。質の高い原材料や製法にこだわっており、できるだけ機械に頼らない手作りあんを誇りとしている。

きのこ型パンのなかには、あんバターがたっぷり!

「ハリスさんの牛乳あんパンといえば、なんといってもこのフォルム! とっても可愛いですよね」と、目を輝かせる大森アナウンサー。あんパンといえばドーム型のものが一般的ですが、この牛乳あんパンは生地をカップに入れて焼き上げることできのこ型になります。この工程により、カップに覆われた部分は白く柔らかく、膨らんだ頂上部分はこんがりときつね色に焼き上がるのです。半分に割ると、中からなめらかなこしあんと真っ白なバターが。上品な甘さとクリーミーな口当たり――。このふたつが合わさることで見事な味のハーモニーを奏でます。

和菓子屋の哲学が込められたこだわり抜いた、あん作り

ハリスさんの牛乳あんパンの味の決め手は“和菓子屋の命”とも言われるこしあんにあります。大森アナウンサーが最重要工程である製あんの現場に潜入取材しました。

大森アナ:こちらが製あんの機械ですね。大きな釜から湯気が濛々(もうもう)と立っています。

車澤さん:うちは、和菓子もパンもすべて自家製あんで作っています。すごく手間がかかるので、自社で製あんしているところは少ないんですよ。この点は、平井製菓ならでは強みと言えますね。

大森アナ:ハリスさんの牛乳あんパンに使われているこしあんには、どんな特徴があるんですか?

車澤さん:大事にしているのは、口に入れると溶けるような舌触りとさっぱりとした後味。あんは、豆の炊き方ひとつで、粘り気が出たり、さらっとしたり食感の違いが出ます。豆を前日から水に漬けておくと粘り気が出やすくなりますが、うちは豆に水を入れたらすぐに炊き始めます。そして、あんに入れる砂糖は精製度の高い白双糖。その中でも大きな粒のものを使用しています。これにより食べた後、口のなかから甘みがスッと引き、さっぱりとした後味になるんです。

大森アナ:あんの材料になる小豆にも深いこだわりがあると伺いました。

車澤さん:こしあんには北海道十勝産のえりも小豆を使っています。収穫量が減ってきている貴重な品種なんですよ。香りが良くて、奥深い味わいが特徴です。この小豆を仕入れたら、半年から1年寝かせます。

大森アナ:採れたての新鮮なものを使うわけじゃないんですね!

車澤さん:収穫されたばかりの小豆は皮が柔らかいので、そのまま煮るとあんに粘りが出てしまう。それを避けるために、しっかりと寝かせてまずは皮と身を分離させるんです。この工程をおこなうと、あんはどうしても歩留まり(加工の際にできあがる製品の出来高の割合)が悪くなってしまうのですが、そこはやっぱり量より質。さらっとした口どけには代えられません。

大森アナ:下準備の段階から、手間暇をかけているんですね。ひとつの釜でどれくらいの量のあんが作られるのですか?

車澤さん:ひとつの釜に60㎏の小豆を入れてから7時間かけて作ります。牛乳あんパンの数にすると、約3600個分です。この製あん作業を1日おきに行っています。

フワフワすぎるパンの秘密は発酵時間の工夫でした

丹精込めて練り上げられたあんを包み込むのが、きのこ型のふわふわパン。その製造工程も大森アナウンサーと覗かせてもらいました。

大森アナ:きのこ型のパン生地はカップに入れて成型しているということでしたね。その他に工夫している点はありますか?

車澤さん:一般的なあんパンの作り方と違うのは発酵です。通常は50分から長くて1時間くらいの発酵時間で作るところを、うちでは1時間半かけてゆっくり発酵させています。水分を十分に含ませることで、焼き上げた後にしっとりとするんです。こうして焼き上げると冬場で5日、夏場でも4日は柔らかさが持続します。

大森アナ:発酵状態を見極めるのって、すごく難しそうですね。

車澤さん:そうなんです。発酵が足りないとしっとり食感になりませんし、やりすぎてしまうと膨らんだ後にしぼんでしまったり、タンコブのようないびつな形になったりしてしまいます。そこで、各工程で細かく温度をチェックしたり、加工時間を調整したりすることで、理想的な生地に仕上げていきます。

できたての牛乳あんパンを大森アナウンサーに試食してもらいました。

「あんこ、バター、パン…。すべてのバランスが絶妙です! ミルキーなバタークリームとぎっしりと詰まったこしあんの相性は抜群ですが、甘さは控えめで、スッと溶けていくような滑らかなこしあんには驚かされます。食べ終えたあとの幸福感や満足感はひとしおです」(大森さん)

そもそも、なぜ和菓子屋が牛乳あんパンを作ることになったのか? そのきっかけを4代目社長の車澤正登さんが教えてくれました。

「うちでは元々、和菓子以外にも学校給食で出すためにパンの製造をしていたんです。ただ、学校の生徒数は年々減り、大手商品を並べるコンビニにはどんどん増えていく…。かなり厳しい状況だったので『もうパンは辞めてしまおうか』という話も出ていたのですが、地元のみなさんが熱心に応援してくれましてね。だったらいっそ、下田の名物になるパンを作ろうじゃないかということになりました」(車澤さん)

こうした経緯からまず「下田あんパン」が開発されました。キノコ型のあんパンを和紙の袋に入れて“高級感のある下田土産”として売り始めたのです。下田あんパンをベースに、さらにブラッシュアップさせて作られたのが「ハリスさんの牛乳あんパン」。

「下田は、初代米国総領事のタウンゼント・ハリスが、日本人になじみのなかった牛乳を初めて飲んだという歴史を持つ町。これをヒントに、ミルクを効かせた商品を作ろうということに。バターに牛乳が使われていることはご存じだと思いますが、パン生地にもたっぷりと牛乳が練りこまれているんですよ」(車澤さん)

そして、下田開港150周年を迎えた2004年。ついに牛乳あんパンが発売。下田の新名物は地元の人たちの評判も高く、その美味しさは口コミで全国に広がっていきました。2021年に旅行情報誌「じゃらん」が調査した「全国発売してほしい!ご当地パンランキング」では1位に輝くほど人気の商品に成長したのです。

平井製菓には他にも人気商品が続々→次のページへ

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今回ご紹介した「ハリスさんの牛乳あんパン(6個入り)」を合計3名様にプレゼント。

下記応募要項をご覧いただき、ふるってご応募ください。

応募要項はこちら

撮影/吉澤健太 取材・文/小石原悠介

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