島根半島
「未利用魚を美味しく!」から生まれた逸品
旨みがしっかりとしたのどぐろと、ふっくら脂のりがいいハタハタ。島根県で水揚げされた魚介を生かすべく、シンプルに仕上げた「のどぐろとハタハタのアヒージョ」はお酒のアテにも料理の具材にも抜群です。創業以来、練り物を製造し続ける出雲国大社食品では、魚を扱う技術や経験を基にして、この人気商品を作り上げました。出雲出身のJALふるさと応援隊・徳田さんとその美味しさの秘密を取材してきました。
PROFILE
山崎穣さん
1986年、出雲市大社町生まれ。土木・建築資材卸会社の営業として6年ほど勤務したのちに、家業である株式会社出雲国大社食品に入社。4代目の代表取締役社長である兄の英樹さんとともに、山陰の海産物をはじめとする地元・島根の食材を生かした商品づくりに勤しむ。「のどぐろとハタハタのアヒージョ」の開発リーダーとして奮闘し、商品化を実現させた。
海の幸を無駄にせず、美味しく仕上げる創意工夫が
「のどぐろとハタハタのアヒージョ」が誕生したきっかけは、地元の水産会社から「網にかかってしまった小さいのどぐろを何とか活用できないか」という相談が持ち込まれたことから。小型ののどぐろは市場価値が低く、流通しないことがほとんどです。未利用魚として無駄になってしまうのどぐろの有効活用を目指し、試行錯誤を重ねて美味しい一品を完成させました。
のどぐろは頭と尾、内臓を取り除き、骨ごと食べやすい大きさにカットします。さっと塩水に浸けて、下味を付けつつ魚特有の臭みを抜いたのちにオーブンへ。表面に程よい焼き色が付くまで軽く焼きます。「この工程により香ばしい風味がプラスされ、身崩れもしにくくなります」と山崎さん。
焼き上がったのどぐろを瓶に詰めたら、加えるのはにんにくスライス、赤唐辛子、オリーブオイルのみ。山崎さん曰く「いろいろな調味料を入れては試食を繰り返しましたが、のどぐろを生かしてシンプルに仕上げるのが一番美味しかったのです」とのこと。最後に瓶ごと圧力釜に入れて加熱・加圧をします。30分ほどじっくり熱を加えることで、のどぐろの硬い骨がほろりと柔らかくなり、丸ごと美味しく食べられるようになります。
「のどぐろとハタハタのアヒージョ」の美味しい食べ方を山崎さんに教えてもらいました。
「そのままおつまみにしても十分美味しいのですが、おすすめはパスタです。茹で上げたパスタにオイルごと加えて絡めるだけ。お好みで季節野菜を足して、彩りよく仕上げてもいいと思います。オイルにのどぐろやハタハタの旨み、にんにくと赤唐辛子の風味が移っているので、他の調味料を使わなくても味が決まりますよ。1瓶でパスタ2~3人分が作れます」。
パンやクラッカーにのせても、サラダの具材にしても、ご飯と炒め合わせて炒飯にしてもOK。アレンジが自由自在なので、キャンプやBBQなどの携帯食としても人気だそうです。手軽に楽しめる島根の名産品として、毎日の食卓からホームパーティー、アウトドアレジャーまで活躍してくれること間違いなしです。
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撮影/長谷川潤〈人物・風景〉取材・文/首藤奈穂