島根半島
景色で感じる”非日常体験”
国の登録有形文化財に指定されている創業1905年の老舗割烹旅館「美保館(みほかん)」は、大正時代に流行したモダン建築を取り入れた内装が人気アニメのシーンを感じられると話題に。また、地質遺産などの貴重な自然遺産や歴史・文化を保全、活用している地域に認定される”日本ジオパーク”として、島根半島では非日常的な楽しみを訪れた人々に与えてくれます。
『鬼滅の刃』の世界を疑似体験
大正建築の老舗旅館
大正時代に建てられ、国の登録有形文化財にも指定されている老舗割烹旅館「美保館(みほかん)」。本館のダイニングの吹き抜けが、大人気アニメ『鬼滅の刃』に出てくる鬼舞辻無惨の拠点である無限城のつくりに似ていると話題となっています。
美保関は北前船でにぎわった海の玄関口。「美保館」は海鮮問屋でしたが、昭和にかけて交通手段が陸にシフトし、旅館に変わりました。当時の大正建築の流行を取り入れ、国の登録有形文化財に登録されている本館と旧本館に加え、新館や一組限定の別邸など6つの施設で成り立っています。美保湾を一望できる絶景露天風呂は日帰り入浴も可能です。 そして最近注目を浴びているのが本館。明治・大正・昭和と伊藤博文、島崎藤村、高浜虚子、湯川秀樹など数々の著名人が宿泊しましたが、当時のまま残る内観が、大人気アニメ『鬼滅の刃』の無限城に似ていると話題に。現在は朝食会場となっており、タイムスリップした気分に浸りながら海鮮を中心とした和朝食を静かな海景色とともに楽しめます。 美保館の隣には、えびす様である事代主神(ことしろぬしのかみ)が祀られた「美保神社」が。全国に3000社以上ある恵比寿神社の総本山で商売繁盛だけでなく、音楽などの芸能系の神様でもあります。毎月7日に授与される場を清めるための「月次御幣(つきなみごへい)」は月ごとに色が変わり、周辺のお店などで目にするチャンスがあるかもしれません。
地域全体が絶景夕陽スポット
日本一高い灯台から臨みたい

半島には夕景スポットが数多くありますが、ここ出雲は古くから大和の北西に位置し、地域全体が日が沈む聖地として”日本ジオパーク”および、日本遺産にも指定されています。
海面から灯塔の灯火までの高さが日本一高い灯台のある景勝地「出雲日御碕(ひのみさき)灯台」をはじめ、神迎えの神事が行われ日本の渚百選に選ばれている「稲佐(いなさ)の浜」などの絶景サンセットスポットが多く点在します。
島根半島の西の端に位置する「日御碕」。その先に見える六角形の岩石でできた「経島(ふみしま)」は渡ることのできない神域で、ウミネコの繁殖地としても有名。島全体が国の天然記念物に指定されています。 「出雲日御碕灯台」は平成10年に”世界の歴史的に特に重要な灯台100選”に選ばれた灯台。高さ約44mから一望する360度のパノラマサンセットは圧巻。写真のように昼間に見せる空と海、そして灯台の色のコントラストも鮮やかです。 出雲大社の近くにある「稲佐の浜」は”日が沈む聖地”のシンボル。神在月の神様のお迎えの儀式(神迎神事)は毎年こちらで行われています。神聖な地で臨むサンセットは格別です。 日中の稲佐の浜はまた違った雰囲気。浜にそびえる「弁天島」は岩山の頂上に鳥居があり、神話ゆかりのパワースポット。大漁を願う漁師や、観光客も数多く訪れます。
夕陽を見るためだけにオープン
「宍道湖サンセットカフェ」

出雲と松江のちょうど中間に位置する「宍道湖(しんじこ)」。島根が誇る夕陽スポットの一つで、”日本の夕陽百選”にも選定されています。そんな絶景サンセットスポットで2020年にオープンした「宍道湖サンセットカフェ」は湖畔にあるテイクアウト専用カフェ。しかも夕陽が美しく見える時間にしかオープンしないという、夕陽が主役のカフェなんです。
“たそがれる人をサポートする”というコンセプトのもとにオープンした「宍道湖SUNSET Cafe」。宍道湖の夕陽が美しい時間のみオープンするカフェで、営業時間は”たそがれどき”。天気の良い日の17時(夏季)か16時(冬季)から日没までの時間限定です。 カフェでは「たそがれ珈琲」を始め、サンセットにちなんだネームの美味しいドリンクが楽しめます。〈左から〉サンセットマンゴーティーソーダ¥400、サンセットマジックアワーレモネード¥500(ともに税込)。ドリンクを片手に暮れ行く夕陽を眺めたいですね。 ステンドグラスのようにカラフルでスケルトンなカフェは夕陽の光を優しく通し、時間によってさまざまな表情を見せてくれます。マジックアワーとともに多彩な色を放つ様子は必見です。また、日が沈んでから浮かび上がるようなカフェの景色も幻想的でおすすめです。
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※価格などの情報は取材時のものです。