北松浦半島
焼き物の聖地・伊万里「大川内山」
コロナ禍でお家にいる時間が増えると、より自宅で快適に過ごしたいという気持ちからインテリアや食器に興味を持つ人が増えてきているそう。特に食器は毎日使うものだからこそ、こだわりたいところ。そこでぜひ知ってほしいのが、世界に誇る日本の器「鍋島焼」のことです。
かつて江戸時代に、佐賀鍋島藩は将軍家や幕閣へ献上するための焼き物を製作していました。献上品なので採算度外視で作られており、その精緻な造形と優雅な作風は世界でも評価され、中には1個で数億円するものも! また、優れた製作技法が他に漏れないよう、険しい山に囲まれた「大川内山」に藩直営の御用窯を作り、”秘窯の里”として入り口には関所を設けて徹底的に管理されていました。
そんな大川内山は文化庁が認定した「日本遺産」に、そして「ミシュラン・グリーンガイド佐賀 WEB版」では”寄り道する価値がある”を意味する二つ星を獲得した観光名所でもあるんです。
ここでしか撮れない映えスポット3選
30もの窯元が集まっているので、一度にいろいろな作品を見比べながら散策できるのが大川内山の魅力のひとつ。江戸期から代々継いでいる昔ながらの窯元から、普段使いしやすいモダンなテイストの器が揃う窯元まで、バリエーション豊かで眺めているだけでも飽きません。そして今回は、窯元巡りの途中でぜひカメラにおさめてほしい、焼き物の聖地ならではの写真映えスポットを人気順にご紹介します。
まずご紹介したい人気スポットは「藩窯公園大壁画」。近くに寄るとわかるのですが、ブルー、ピンク、グリーンなど鮮やかなモザイク画がとってもフォトジェニック! 陶片とトンバイ(登り窯で使われる耐火レンガ)で作られたこの壁画は登り窯をデザインしたもので、まさに焼き物の里ならではのモニュメントです。高台にあるので歩いていくのは一苦労ですが、行った甲斐のある素敵な写真が撮れるはず!
続いてのおすすめは「鍋島藩窯橋」です。大川内山の入り口付近にあり、関所を通り過ぎると見えてくるこの橋は、色鮮やかな陶片と陶板が埋め込まれていて、橋げたには高さ1メートルほどある色鍋島の壺が乗っています。橋の外側から見ると上流側には龍、下流側には鳳凰の陶板が埋め込まれていて、遠くから引いて撮ってもよし、ぐっと近づいて撮ってもよしの、360°写真映えする橋なんです。
そして、最後は「鍋島藩窯坂」。石畳が続くこの坂道は大川内山のメインストリートで、周囲には窯元が点在しており江戸の風情たっぷり。「basecamp伊万里」では着物をレンタルしてるので、和服を着て散策すればタイムスリップ気分に浸れるはず。写真のように右側に青山窯の煙突が入るように撮るのがベスト。
そして、せっかくここを訪れたら、やっぱり器を買いたいし体験もしてみたくなりますよね。絵付けやろくろ体験ができる窯元もあるので、ぜひトライしてみてください。マグカップやお皿など、世界でひとつだけの器を作る楽しみは焼き物の里ならでは。
ろくろ体験は<b>「虎仙窯」「今岳窯」</b>で、絵付け体験は<b>「青山窯」「せいら」「畑萬陶苑」</b>でできます。絵付けをした器を窯元で焼いてもらい完成するまで約一カ月かかります。 鍋島藩窯坂のランドマークとなっている煙突の窯元がこの<b>「青山窯」</b>。伝統的な技法を生かしたモダンなデザインの器は毎日の食卓で使いやすいものばかり。写真はおもてなしのセッティングにもぴったりな、人気の「菊割」シリーズ。 大川内山の鍋島天然青磁原石を使った青磁は美しいエメラルドグリーンが特徴。<b>「大秀窯」</b>の作品はひとつひとつ丁寧な手仕事で作られており、少数生産を貫いているので人気のシリーズはすぐSOLD OUTに。
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散策の途中でお腹が空いたらちょっと一休み
30ある窯元をじっくり回るなら2時間くらいは欲しいところ。その間、お腹が空いたりちょっと休憩したいときにおすすめのお店が3つあります。
「民家レストラン伊萬里亭」は大川内山のふもとにある隠れ家レストラン。きめ細かく柔らかい肉質で、甘みとコクのある味が特徴の伊万里牛を使ったステーキやビーフシチューは絶品です。「喫茶こせん」は虎仙窯のギャラリー2階にあり、評判の日替わりケーキはこちらのおかみさんの手作り。使っている器はもちろん虎仙窯の焼き物だから、お気に入りを見つけたら帰りにもう一度チェックしてみて。「basecamp伊万里」は古民家をリノベーションしたカフェで内装はとってもオシャレ。なんと宿泊することもできるんです。人気メニューはランチプレート、クロックマダム、そしてとろ~り濃厚焼きプリン。
<b>「伊萬里亭」</b>で一番のおすすめは伊万里牛ステーキ定食(3,300円・税込み)。国産牛豚の合いびきを使ったハンバーグ定食も人気です。 <b>「喫茶こせん」</b>の日替わりのケーキはすべて手作り。保存料や添加物を一切使用していないので、土日祝日の数量限定です。 <b>「basecamp伊万里」</b>はランチプレートの他にも美味しいメニューがたくさん! インスタのアカウントでチェックしてみて(@basecampimari)
一年で一番盛り上がるのは「風鈴祭り」
大川内山では年間を通じて、「春の窯元市」(4月の第一週の金土日)、「伊万里やきものまつり」(4月末~5月5日)、「鍋島藩窯まつり」(11月上旬)などのお祭りが開かれますが、一番観光客で賑わうのが「風鈴まつり」(6月中旬~8月末)です。1,000個近い風鈴が、それぞれの窯元の軒先で涼しげな音色を奏でるさまは、これぞ日本の夏といった趣き。期間中はボシ灯ろう祭り(2021年は中止)や夏の器作品展などさまざまなイベントも開催されているので、ぜひ涼をとりに足を運んでみては。
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※価格などの情報は取材時のものです。