島原半島
「はねぎ搾り」の酒蔵で生まれる甘酒は美味しさが段違い!
南島原で100年以上、伝統的な設備を代々引き継ぎながらこだわりのお酒を造り続けている「酒蔵 吉田屋」。お酒と同じ米麹と水だけを使い、麹の風味がしっかり残る「百年甘酒」も、全国にも着々とファンを増やし続けている人気の一品です。ひと口飲んだ瞬間から「百年甘酒」のファンになったという長崎文化放送の佐藤綾子アナウンサーとともに、こだわりを紐解いていきます。
PROFILE
吉田嘉明さん/吉田屋
島原半島の南部に位置する南島原市に大正6年創業、100年以上の歴史を刻む「はねぎ搾りの酒蔵 吉田屋」の四代目蔵元。東京農業大学醸造科学科で基礎を学んだ後、南島原に戻り、酒造りに邁進すること40年弱。蔵の奥底に眠っていた設備で伝統的な「はねぎ搾り」を復活させるとともに、東京農大花酵母研究会の花酵母を採用するなど、独創性あふれる酒造りにチャレンジしている。
米麹の風味がぎっしり!「百年甘酒」は瓶内発酵が決め手
もともとは地元の人へおすそ分けしていた、酒造りの工程でできる作りたての甘酒を、熱いリクエストにより商品化したのが、こちらの「百年甘酒」。原材料はお酒に使用するのと同じ米麹と水だけ。1本1本、瓶内で発酵させてできあがるからこそのシンプルで優しい味わいは、これまでの甘酒のイメージをガラリと覆すほど!
ひと瓶ずつ発酵させて、麹の粒が残る甘酒が完成!
①この米麹の粒が潰れることなく残るのが特徴 ②ひと瓶ずつ米麹を手作業で入れていきます ③お酒に使う仕込み水と同じものを注いで…
④丁寧に撹拌してからふたをします ⑤一定の温度を保てる機械の中に並べます ⑥55~56℃で12時間発酵させればできあがり!
佐藤アナ:これまでの甘酒ってなんだったのだろう…と思うほど、「百年甘酒」はとにかく美味しかったです!
吉田さん:ありがとうございます。甘酒があまり得意ではないという方にも、「百年甘酒は甘すぎず喉ごしもよく、おいしく飲める!」とご好評いただいております。
佐藤アナ:ひと瓶ずつ瓶内で発酵させるという製法は、一般的なのでしょうか?
吉田さん:甘酒は酒造りでも使う大きいタンクで作るのが一般的で、ひと瓶ずつに詰めてから発酵させている甘酒はなかなかないと思います。麹と水の量のバランス、そして安定した温度管理が肝。55~56℃で12時間、瓶内でじっくり糖化させることで、麹の粒を潰さずキレイに残しながらも、ほどよい甘みとさらっとした喉ごしを実現しています。麹も酒造りと同じものですが、水もお酒の仕込み水と同じ自家井戸水を使っています。
佐藤アナ:水がおいしくキレイな島原ならではの、じっくりと手間暇をかけた甘酒なんですね! ツブツブ食感が残っているので、〝飲む〟というよりも〝食べる〟感覚で美味しくいただきました♪
「砂糖は一切加えずに、米麹と水だけで発酵させて作られた甘酒の甘みは、体にス~ッと染み渡るようになじむ感じ。ひと口、またひと口、といただくたびに心までほっこりとして、自然と元気をくれる実感があります。」(佐藤アナ)
甘酒といっても麹100%の甘酒でノンアルコール。砂糖はもちろん、添加物や防腐剤なども一切入っていないので、腸活や体調管理を意識して毎日飲む場合でも安心。赤ちゃんの離乳食から高齢の方まで幅広く楽しめる甘酒です。
そして「百年甘酒」のボトルをよく見てみると、ラベルにもこだわりが詰まっている模様。
「島原に足を運ばなくても、ここの雰囲気を味わっていただきたくて。酒造りに必須なお米の稲穂に、雲仙岳、南島原市の花であるヒマワリ、そしてイルカ…南島原のシンボルをラベルにデザインしています」(吉田さん)
「にっぽんの宝物世界大会2018」では最優秀賞を受賞。長崎県内のみならず、全国にも名を知らしめる正真正銘〝ホンモノ〟の甘酒は、一度飲んだらトリコになること間違いなしの一品です。
吉田屋の伝統製法「はねぎ絞り」について詳しく取材してきました→次のページへ
撮影/山本雄生 取材・文/門司紀子