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酒蔵 吉田屋がこだわる伝統的な「はねぎ搾り」とは

今や全国で5~6軒しか採用していないという「はねぎ搾り」は、古くから伝わる日本酒の伝統的な製造方法のこと。ここからは吉田屋があえて手間暇をかけ、非効率で生産性の低い「はねぎ搾り」にこだわる理由を探っていきます。

「はねぎ搾り」の鍵となるのは、耐久性の高い樫の木でできた長さ約8mもある〝撥ね木〟。お酒の酛(もと・酒母)と蒸した米、麹米、仕込み水を加え1カ月かけて作られた醪(もろみ)を酒袋に入れ、槽(ふね)と呼ばれる枠の中に敷き並べ、ふたをし、重しとなる枕木を積んだら、阿弥陀車を回しながら撥ね木を下ろしていきます。

気温や湿度に合わせてかかる力を微調整しながら、てこの原理を利用してじっくりとお酒を搾っていきます。さらに重しとなるタンクを撥ね木に吊るしてひと晩搾り、枕木を外して酒袋の置き方を変えて搾れていない部分をさらに搾って…の繰り返し。搾り作業を集中的に行う6カ月間で、体重が激減するほどの重労働、そして地道すぎる作業…。でもこの「はねぎ搾り」でしか成しえない、大量生産とは一線を画す本物の味わいこそ吉田屋のこだわりなのだそう。

佐藤アナ:聞けば聞くほど伝統的で素晴らしい製法だとは思いますが、手間も労力もかかりすぎますね…。それでも「はねぎ搾り」にこだわり続ける理由はなんですか?

吉田さん:大正6年に創業し、元来はこの〝はねぎ搾り〟でお酒を製造していたのですが、私が約40年前に蔵へ戻ったときには機械での製造が主流となっていました。「オリジナリティのある日本酒を作り、地元はもちろん県外の方々にも南島原のお酒を楽しんでいただきたい」という想いから、使わなくなっていた〝撥ね木〟装置を試行錯誤しながら、約20年前に「はねぎ搾り」を復活させました。ほぼ手作業で一滴一滴丁寧に搾り出される原酒は驚くほど雑味が少なく、柔らかくふくよかな味わいになるんです。

佐藤アナ:効率が悪いとしても、こだわって良いものを生み出そうとするその情熱に脱帽です。「はねぎ搾り」は日本酒造りの歴史としてこれから何十年何百年と、後世に残していくべき財産だと思います。

蔵元ショップでは〝はねぎ搾り〟の試飲も!

「どちらかというと甘口の日本酒が好きなのですが、『純米吟醸酒 はねぎ搾り』は口をつける前から華やかなお花のような香りがふわっと香り、辛口でありながらもさらっと軽やかな飲み口が魅力だと感じました。辛口なのにまろやかで柔らかな当たりが〝はねぎ搾り〟ならではの味わいなのかも♪ さらに日本酒をベースにした梅酒『歌酒』は家にストックしておきたいほど気に入りました。梅の香りと日本酒の旨味が凝縮されていて、仕事を頑張って帰宅した夜のご褒美に、ゴクゴク飲み干したい気持ちを抑えて、チビチビいただくつもりです(笑)」(佐藤アナ)

酒蔵の入り口付近にあるショップスペースでは、おすすめのお酒を試飲することが可能。店員さんにそれぞれのこだわりをうかがいながら、好みのお酒を探してみてくださいね。

そして、吉田屋の日本酒造りにおいて〝はねぎ搾り〟とともに注目したいのが、なでしこ、さくら、アベリアなど、花から分離した〝花酵母〟を使ってふわっと香り高く仕上げていること。東京農業大学短期大学部醸造学科の「花酵母研究会」の研究から生まれた花からの贈り物〝花酵母”を、お酒に合わせて多様に採用。今や、吉田屋の酒造りに欠かせないスパイスとなっているのだそう。

さらに現蔵元である四代目嘉明さんの息子さんである、五代目の吉田嘉一郎さんが修行先から戻り、新たな日本酒造りに着手。これまで吉田屋では使ってこなかった花酵母を厳選し、モダンな雰囲気のラベルを採用するなど、老舗酒蔵にさらなるユニークな新風が! 今シーズンのお酒は好評につき完売してしまったのだとか。来季はどんなお酒ができあがるのか、期待度大です!

はねぎ絞りの酒蔵 吉田屋

長崎県南島原市有家町山川785
TEL 095-782-2032

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エモさと渋さが共存する、島原の観光スポット

島原半島で今一番ホットな〝映え〟スポットといえば、ホームの先に海が一面に広がり、幸せの黄色ハンカチがたなびく大三東駅。屋根も柵もない開放的なホームの先には一面の有明海が。干満の差が大きく、干潮時と満潮時ではかなり異なる景色が眺められるのもユニークで、時間帯や季節によって雰囲気も変わるので、何度でも訪れたくなるノスタルジックな場所です。島原は古くから水の都とも呼ばれており、豊かな水のせせらぎを感じながらの島原城&城下町散策もぜひ楽しんで。

江戸時代にタイムスリップできる風情ある城下町

島原半島の中心に位置する島原市の高台には、松倉重政により元和4(1618)年から7年にわたって築かれた島原城(現在は2024年の築城400年に向けて天守閣外装改修工事中)が。周りには城下町として栄えた名残が随所にあり、築400年近い武家屋敷と水路が当時の姿のまま残されています。かつては武家屋敷が約700戸も軒を連ねていたそう。現在は山本邸、篠塚邸、鳥田邸の3軒が一般に無料開放されており、江戸時代の武士の生活を垣間見ることができます。島原を旅するのなら何がなんでも必見!

「島原湧水群」は日本の名水百選にも選定され、武家屋敷周りにも湧水スポットが点在しています。中心部にある新町一帯には色とりどりの錦鯉が放流されていて、悠々と泳ぐ姿を観られます。石造りの風情ある水路に、透明感あふれる水、そしてさまざまな趣の色鮮やかな鯉…。鯉の泳ぐまち島原ならではの、旅の思い出に刻まれる勝景です。

プレゼントキャンペーン開催中!

百年甘酒〈3本入り・手提げタイプ〉を合計3名様にプレゼント! 下記応募要項をご覧いただき、ふるってご応募ください。

応募要項はこちら

撮影/山本雄生 取材・文/門司紀子

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