島原半島
「雲仙デトックス」
長崎県・島原半島のシンボルといえば、なんといっても「雲仙岳」。同半島の中心に位置し、「普賢岳」「妙見岳」など20以上の山々から成る火山群で、”海に浮かぶ霊山”と言い表されるなど、物心両面で存在感を放っています。
その歴史は古く、大宝元年(701年)に教科書にも登場する高僧・行基が開山したとされており、比叡山延暦寺・高野山金剛峯寺とともに天下の三山と呼ばれる「雲仙山満明寺」は、1300年以上山岳信仰の聖地であり続けています。
そんな雲仙岳エリアには現在、自然条件を生かした幻想的な観光スポットや、美容にもいい特産品がたくさん。さあ一緒に「雲仙デトックス」に出かけましょう。
幻想的な風景とキレイを作る地元の味「雲仙地獄」
雲仙はかつて「温泉(うんぜん)」と当て字がされていたほどの、温泉の名所。「雲仙温泉」は雲仙岳の中腹にあり、標高が高く平地よりも気温が約5℃低く、夏場は避暑地にぴったり。山間の国立公園内にある「雲仙地獄」には、温泉地特有の硫黄の匂いが立ち込め、むき出しの岩肌から吹き出す蒸気と熱気が覆い尽くす、幻想的な風景が広がっています。
同所は雲仙岳エリアきっての観光地として、昭和中期ごろから団体旅行や修学旅行の訪問先に選ばれてきました。そして2016年秋には、それまでの「見る地獄」から、「体感する地獄」にリニューアル。整備された遊歩道自体が地熱で温かく、一歩進むたびに「地球が生きている」と感じられます。
さらに、60分ほどの地獄めぐりの途中に、五感で楽しめる名物も。裸足で地熱を感じることができる「雲仙地獄 足蒸し(あしむし)」、地獄の蒸気で蒸した「名物温泉たまご」、UNZEN JIGOKU CAFÉで販売されている美容と健康にいい「オリーブリーフアイス」、そして明かりが一切ない環境を活用した「夜の地獄めぐりツアー」(2種類あり、どちらも要予約)などが人気です。
また近年、”地元の食材で心も体もキレイに”をテーマに雲仙市の地域おこしの一環でブランド化を進めているのが「種どり野菜」。もともと日本で育てられていた原生種の野菜100種類以上の総称で、栄養価が高くて苦味や滋味が強く、その味に魅了された料理人たちが県外から訪問・移住をしてくることも少なくないそう。「黒田五寸人参」をはじめ火山性の地質に合った野菜の数々は、雲仙温泉のホテル・旅館でも提供されています。
雲仙の温泉は”入る化粧水”ともいわれる美容の湯なので、野菜料理と温泉で、体の中からも外からもキレイになれそう。心の美容メモに雲仙地獄をブックマークしましょう!
※雲仙地獄は2021年9月6日現在、同年8月13日に発生した土砂災害により一部立入禁止。雲仙地獄工房(温泉たまご)、UNZEN JIGOKU CAFÉは当面のあいだ休業
映画『君の名は(第三部)』の作中で岸惠子が演じたヒロイン・氏家真知子が手をついた岩は、「真知子岩」として記念碑が立てられ、現在も雲仙地獄の名所のひとつに 「雲仙地獄 足蒸し」は足を置くと地熱や蒸気を体感できる足蒸し湯 「雲仙地獄工房」で雲仙市産の新鮮な卵を、地獄の蒸気で蒸して作られている「名物温泉たまご」は多い日で1日に2000個売れることも! 抗酸化作用・抗菌作用に優れたオレオロフェインやヘドロキシンといったポリフェノールを、赤ワインの2.2倍、緑茶の3.3倍ふくむオリーブの葉。「オリーブリーフアイス(雲仙地獄カフェでは¥440)」は、メーカーがみずから地元・雲仙市で有機栽培したオリーブの葉(有機JAS認証)から、特有の苦味を除いて栄養成分だけを抽出したパウダーと、国内産の魚から抽出されたコラーゲンペプチドを配合して作られた、”美容によすぎる”アイスクリーム。各種ふるさと納税サイトなどでも購入可 国立公園のため明かりがなく、幻想的な風景がゾクッとした恐怖を引き立てる夜の雲仙地獄では、現地集合の地獄めぐりツアーが2種類開催されている。ひとつはプロのガイドが案内してくれる「地獄のナイトツアー」(¥600)で、地獄の息吹=蒸気の吹き出す音が昼間より鮮明に感じられる15人~20人ほどのツアー。もうひとつが、上の写真の「湯にも地獄の物語」(¥3,000)。プロの演者が和装で地獄にまつわる伝説や妖怪噺を演じる、月2回・1回15人限定の人気ホラーツアー 雲仙岳の麓にある雲仙温泉。温泉街には、ぷーんと硫黄の香りが漂う。白く濁った42〜43℃と熱めの硫黄泉で、メタキン酸などの美容成分を含んでいるため「入る化粧水」とも。湯上がりにさっぱりの泉質で、冬より夏、とくにオイリー肌の人にぴったりだそう。旅館やホテルによって、引いている源泉が異なるので入り比べをしてみても◎ 雲仙市が積極的にブランド化に取り組んでいる「種採り野菜」。雲仙温泉では、「雲仙九州ホテル」「雲仙 福田屋」「ゆやど雲仙新湯」などで提供されている。この3館は女性の宿泊客に人気だそう
- 「雲仙地獄」
- ・住所/長崎県雲仙市小浜町雲仙320
- ・営業時間/24時間・年中無休(夜間のライトアップはなし、足蒸しや雲仙地獄工房には使用・営業時間あり)
- 詳細はコチラ
- 「オリーブリーフアイス」はコチラ
- 雲仙地獄周辺の休業休館情報はコチラ
地元の人も訪れる自然のアミューズメントは四季で表情を変える山景「雲仙ロープウェイ」
島原半島地域のどこからでも見える雲仙岳。四季とともに移ろう山の景色を存分に楽しみつつ、島原半島を一望できるアミューズメントが「雲仙ロープウェイ」です。
雲仙岳を構成する山のひとつ「妙見岳」の、仁田峠駅(標高約1,100m)から山頂の妙見岳駅(同1,300m)間に敷かれた、標高差174m・距離500mの乗車時間は約3分ほど。その素晴らしい眺望を味わうために、県外からの観光客はもちろん、島原在住の人も折にふれて訪れるスポットなんです。
山頂にある展望所からの眺望や、仁田峠駅の売店で買える可愛いロープウェイのキャラクター「ロージィー」のオリジナルグッズも要チェック。一方で、通いなれた地元の人にとっては、そうした施設よりも「乗り物」としての思い入れが強く、往復の6分間で見られる眺望を目一杯楽しむのだそう。
海と新緑のコントラストに島原半島の雄大さを感じる上の写真は、夏のロープウェイで撮影された一枚。夏の見どころはこの新緑と6月の一カ月間に咲き誇るヤマボウシの白い花。春はミヤマキリシマのピンク、秋は紅葉の赤や黄色、冬には霧氷で白と、鮮やかに装いを変えていく霊山は、いつ訪れても心が洗われるスポット。四季を感じる国・日本を代表する、自然のアミューズメントではないでしょうか。
仁田峠駅付近に咲き乱れるミヤマキリシマ(5月中旬〜下旬)は、春の雲仙ロープウェイの名物 紅葉シーズン(10月下旬〜11月上旬)には、山肌のすぐ近くで赤黄のグラデーション美を感じることができる 霧氷で冬化粧をした雲仙岳の荘厳さは、圧巻のひと言。空や海の鮮明な青さに、白が”色”として引き立つ(11月下旬〜3月上旬)
- 「雲仙ロープウェイ」
- ・住所/長崎県雲仙市小浜町雲仙551
- ・営業時間/
- [夏季(4〜10月)]08:31〜17:23(上りの最終は17:03)
- [冬季(11月〜3月)]08:31〜17:11(上りの最終は16:51)
- ・料金/
- [片道]大人¥730、小人¥370
- [往復]大人¥1,290、小人¥650
- ※団体&障がい者割引あり。動物は補助犬のみ乗車可
- 詳細はコチラ
絵師が筆を落としたほど美しい水流は夏でも”冷たすぎる”と評判「鮎帰りの滝」
盛夏でも平均気温が20℃台で、避暑地としても名高い雲仙地域。雲仙岳の裾野にあるのが、南島原市の避暑名所のひとつ「鮎帰りの滝」。山の上から流れる有家川の中腹にあり、夏でも10分〜15分浸かっていると唇が紫色になるほど、水が冷たいのだそう!
滝の上部には一枚岩の上を水が流れている「千畳敷」があり、水量が多く水流も速いため、天然のウォータースライダーとして楽しめるレジャー施設の一面も。地元の子供たちにとって絶好の遊び場にもなっていて、特に夏は県内外から水遊びに訪れる客足が絶えない人気スポットなんです。
さらに、大人の女性が注目したいのは滝自体の美しさ。江戸時代に釧雲泉(くしろうんぜん)という高名な絵師が訪れた際、あまりの美しさに描くことができず筆を落とした、という逸話が残されているほど。鮎帰りの滝が、季節・天候・時間によって織りなす多彩な表情を収めるべく、日本中の写真愛好家たちがこぞってシャッターを切りに訪れています。
地元の人に聞いたおすすめ時期は、6月と11月。6月には滝壺をホタルが舞う風景が、11月には紅葉に囲まれた滝が見られるそう。冷た〜い清流から立ち上る極上のマイナスイオンを浴びながら”私だけの一枚”を撮れたら、滝に併設された茶屋で地域の名物「そうめん流し」に舌鼓。年々猛暑が厳しくなる日本ですが、とびきり涼しい夏がここにあります。
滝の上では、一枚岩を水が流れる 夏には、子供たちがこぞって水遊びに訪れる(※コロナ禍前に撮影された写真です) 鮎帰りの滝に併設された「滝の茶屋」 滝の茶屋でも提供されている、地域の名物「そうめん流し」。写真は滝とは別の場所にある名店「山の寺 邑居」のもの
※価格などの情報は取材時のものです。