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愛媛県

佐田岬半島

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ここがイチオシ!
佐田岬半島

染め物に織物、そして…漁船のクルーに!?

まるで大人のキッザニア「佐田岬”OJT”レジャー」

全国の地方自治体の共通課題ともいえる、町おこし。シネコンやファミリー向けレジャー施設を備えた大型ショッピングモールの誘致など、都市近郊型の開発をするのも答えのひとつかもしれませんが、せっかく旅で訪れるなら、その土地ならではの魅力を体感したいもの。佐田岬では、地元ならではの「職業体験(OJT)レジャー」が整備されていて、観光サイトにまとめて掲載されています。

今回ご紹介するのは「藍染め体験」「伝統の織り物体験」、そして「漁師体験」の3つです。ただの観光体験でなく、実際に手仕事をすることで土地の風土や歴史を自然と学べるのも、OJTレジャーのおすすめポイントのひとつ。そして、作業に夢中になったあとの空腹に嬉しい近隣グルメ情報も、併せてお届けします!

無農薬で原料を育てる”和クリエイター夫妻”が手ほどき&仕上げもしてくれる「藍染体験」

藍染体験を提供しているのは、柏木康司さん・圭子さんご夫妻で経営される「岬藍(はなあい)ファーム」。藍染の原料であるタデアイ(蓼藍)を無農薬で生産する農家も営んでいます。

もともと兵庫県神戸市で和文化のアトリエを営んでいたご夫妻は、康司さんが書道(雅号は康越)、圭子さんが生け花の作家。2015年に師匠ともいえる染め師さんに出会ったことをきっかけに、講習会などでの藍染体験を重ねて、目に見えない効能をもった「生活着」としての藍の可能性に気づきました。天然染料の藍染をした衣類は、夏には抗菌作用が高い藍が肌への不快感を軽減し、冬には血行を促してほんのり温かみを感じるそうです。

それから自家染めができないかと思い立ち、全国的に生産・染色・洗いができる土地を探していたところ、親戚のご縁でたどり着いた伊方町にUターンならぬIターンで移住。自分たちで畑を開墾し、じっくりと腰を据えて藍染の体制を整え、2~3年かけて一般向けの体験教室を開くまでになりました。

タデアイは基本的に染料でしか使われない植物ですが、無農薬生産であることと抗菌効果が高いことから、ブランド茶「岬藍茶」を作って販売していた時期も。なお今は、夫婦2人での営業している体験教室やご自身たちの作品づくりに集中するため、お茶の生産はお休み中です。

藍染体験では、ご夫妻のレクチャーを受けながら1時間程度で作品を染めていきますが、この段階ではまだ完成ではありません。そこから2~3回の染色と洗いの仕上げ作業をご夫妻がやった後、完成品を送ってくれるシステム。ホームページやFacebookページで受付をしていますが、とても人気のため早めの予約が必須。仕上げの作業工程が重なりすぎて一時休止することもあります。

体験費用は、岬藍ファームに衣類を用意してもらう場合、600円(ハンカチなど)~3,500円(Tシャツ)、持ち込みの場合は1gにつき15円。大半の人が持ち込み希望で、シャツやブラウスが一番多いそう。また、現地を訪れることが難しい人のために、染色サービスも提供されています。

天然染料のため、柏木さんでも仕上がりが読めないところも、魅力のひとつ。和クリエイターのご夫妻と一緒に、”藍の輪”を広めてみませんか?

  • ●「岬藍ファーム」の藍染体験
    ・開催時期/ホームページまたはSNSメールで確認
    ・集合場所/瀬戸アグリトピアまたは佐田岬リゾート入り口
    ・料金/[手ぶら参加]ハンカチ・バンダナ・巾着¥600、手ぬぐい¥1,000、Tシャツ(SMLから選択可)¥3,500
    [持ち込み参加]1gにつき15円
    詳細はコチラ
    ●「岬藍染めサービス」コチラ

MOTTAINAI精神が生んだ「古布の裂き織り」一期一会で”私だけの柄”が織り上がる

1960年(昭和35)年ごろまで佐田岬半島では、「裂織り(さきおり)」という織り物の技法が重宝されていました。経済的にあまり豊かでない家庭が多かった事情から、古着・古布を裂いて新しい着物のヨコ糸に利用したこの織り物は、2000年代後半に起こった世界的なムーブメント「MOTTAINAI」の先輩に当たる再利用精神を宿した生活文化です。ところが高度経済成長を経て日本全体が豊かになるにつれ、時代とともに裂織りの文化と精神が消えていきました。

しかし近年、伊方町に市町村合併される前の三崎町役場で職員だった小林文夫さんが中心となり「伝統を絶やすわけにはいかない」と、この素晴らしい文化の復活に努めました。地域の家々に呼びかけ、かつては一家に一台あった「裂織り機」を提供してもらい、古着・古布を集めてヨコ糸を作って、体験教室の開催までこぎつけました。

裂織りの特長は、なんといっても古着の柄が生かされるところ。もともとの柄が分解・再構築されて、モザイクアートのような新しいパターンが生まれます。また、ペダルを踏み込んで糸を上下させながら新しい柄を手作りする独特の工程が「楽しい!」と、体験した人からは大好評だそう。

今のところ体験教室で初心者が織り上げるものは、小さめのテーブルクロスである「テーブルセンサー(ヨコ36cm×タテ45cm)」を2時間ほどかけて…と決まっていますが、回数を重ね親交を深めて相談すれば、違う作品も作れる可能性も。SDGsに取り組むのが当たり前になった今、時代に合った織り物文化を趣味のひとつに加えてみては。

  • ●「裂織り体験」
    ・開催時期/通年(要予約、参加者にはレンタサイクル割引あり)
    ・体験時間/約2時間(オリコの里見学→織り物体験)
    ・集合場所/オリコの里
    ・費用/体験¥2,500円、見学¥500
    詳細はコチラ

「漁師体験クルーズ」でカゴ網引き上げを…海女さんの漁が至近距離で見られる

近年盛り上がりをみせている佐田岬半島のOJTレジャーが「漁師体験クルーズ」。全国の他の漁師町と同じように、コロナ禍で本業が不況に陥った漁師さんたちと観光協会が協力して、「灯台に行く遊歩道がきつい人に漁船で灯台クルーズを」と始まったのがきっかけでした。

加えて、はまちやサザエ、アワビ、伊勢海老などの海産物が豊かな宇和海の特長を活かし、それぞれの漁師さんにおまかせで「漁師体験」をセットにすることに。漁師さんのレクチャーで釣りをしたり、大掛かりなものだと、仕掛けたカゴ網を引き上げる体験〈写真・上〉ができることもあります。

乗船する漁船も実際の仕事道具のため、イスのあり/なしなどの装備は漁師さんによって千差万別。共通するのは、海面が近いので海を走る感覚を味わえることと、海からひょっこり顔を出す海女さん(男性なら海士さん)の漁を間近で見られること、そして海から灯台を見られることです。

時間は1時間程度で、お昼の12時30分と14時30分の1日2便(要予約)。2021年4月から9月末までの半年間で469名が体験乗船し、つねに混み合っていたそう。

海で力仕事をしたあとは、集合・解散地の佐田岬はなはな付近からアクセスのいいお店で食べられる名物でお腹を満たすコースがおすすめ。三崎地区では、アジ・サバの刺身を中心とした海鮮料理が人気ですが、ご当地ファストフードの「じゃこかつ」「ちゃんぽん」も外せません。

「じゃこカツ」は”じゃこ天のカツ”のことで、関東風にいえば「さつま揚げのカツ」。元祖じゃこカツの看板を掲げる「伊方じゃこてん きらら店」は「道の駅きらら館」の駐車場にお店があります。一方、ちゃんぽんは鶏ガラベースのあっさり味が特長で、タクシーの運転手さんに人気なのが「まるま食堂」。さあ、お腹も空いてきたところで、職業体験レジャーのグルメセットを、どうぞご予約ください。

  • ●「漁師体験クルーズ」
    ・開催時期/4月15日~10月31日
    ・体験時間/約1時間(灯台クルーズ&海士見学も含む)
    ・集合場所/佐田岬はなはな ※汚れてもいい服装で
    ・費用/
    [個人料金]大人¥2,500円、小学生¥2,000、幼児無料
    [団体料金]大人(6名まで)¥32,000
    詳細はコチラ

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