秋田県

男鹿(おが)半島

ここがイチオシ!
男鹿半島

海の香り漂う翡翠色の麺は驚きのモチモチ食感

「男鹿 しょっつる焼きそば」で日本三大魚醤の旨味を堪能

秋田の焼きそばといえば、B級グルメの祭典「B-1グランプリ」で一躍有名となった「横手焼きそば」を思い浮かべる方も多いですよね? でも、2009年3月に誕生し、男鹿市内外を合わせて約30の加盟店で楽しむことができる「男鹿 しょっつる焼きそば」が、ここ最近注目されているんです。
男鹿 しょっつる焼きそばは、魚醤「しょっつる」を味の決め手にした焼きそばです。魚醤とは、魚を塩と共に漬け込み発酵させた液体調味料のことで、魚の旨みが凝縮された味わいが魅力。石川県の「いしる」、香川県の「いかなご醤油」とともに、秋田県のしょっつるは、日本三大魚醤に数えられる特産品です。
伝統的に、男鹿のしょっつるは秋田特産のハタハタと天日塩だけを原料として作られます。ハタハタは「魚」へんに「神」で「鰰」と書く深海魚。厳寒の12月上旬、雷ともに産卵のために一斉に沿岸に押し寄せてきます。その卵は赤や緑やオレンジなどカラフルで、神秘的な魚として知られています。じっくり3年をかけて熟成された深みのある琥珀色のしょっつるは旨みが凝縮されており、落ち着いた香りと白身魚特有の上品な味わいをしています。

“十店十色”の個性が光る男鹿 しょっつる焼きそばを実食

男鹿 しょっつる焼きそばにはいくつかのルールがあります。まず、タレは秋田名物しょっつるベースの塩味であること。次に、麺は粉末ワカメと昆布ダシ入りの特製麺を使用すること。そして、原則的に具材に肉を使わない海鮮焼きそばであること。イカやタコ、エビ、貝類、のりなど魚介の魅力を存分に味わうことができるのが、この焼きそばの特徴なのです。

さっそく、JALふるさと応援隊の佐々木沙彩さんに約30ある加盟店の一店「きりん亭」の男鹿しょっつる焼きそばをレポートしてもらいました。

「きりん亭はあんかけスタイルのしょっつる焼きそば。しょっつるの風味がほどよく、出汁の旨味がしっかりと出ています。エビやイカなどの海鮮やウズラの卵やきくらげ、もやしなど具沢山で、お肉が入っていなくても食べ応え十分。もっと魚醤を強く感じたい方は、スプレーに入ったしょっつるをかけるのがおすすめ。さっぱり食べたい方は、レモン汁をかけると味に変化が生まれますよ。お店ごとに具や調理の仕方が全然違うそうなので、いろんなお店を巡ってみたいと思いました!」

この焼きそばの特徴は、翡翠色をしたモチモチの麺にあります。その中華麺を地元男鹿市船越で製造販売している「八郎めん」の杉渕社長に美味しさの秘密を取材しました。

PROFILE

杉渕正英さん

八郎めん4代目社長。東京の大学を卒業後、百貨店に勤務。その後、故郷の男鹿市船越に戻り、家業である製麺所「八郎めん」を継ぐ。これまで90種類もの新商品を開発。国内外を問わず、さまざまな企業や団体とコラボレーションをしている。社長業だけにとどまらず、秋田県水上スキー連盟会長、船越商店会会長、男鹿市観光協会副会長などに就いており、地域に大きく貢献をしている。

秘密はわかめ粉末! 翡翠色の麺の製造過程に密着

八郎めんの歴史は、創業者の杉渕周助さんが1927年(昭和2年)に東京・渋谷区幡ヶ谷で乾麺製造販売業を開いたところから始まります。空襲で社屋を失ったことをきっかけに、寒風山の豊かな水の恩恵を受ける故郷の男鹿で製麺業を再開することに。現在社長の杉渕正英さんは創業者の孫にあたる4代目。引き継がれてきたノウハウを活かし、これまでに90種類もの製品を開発してきました。「男鹿 しょっつる焼きそば」のプロジェクトにも杉渕さんは深く関わっています。

杉渕さん「男鹿 しょっつる焼きそばは、秋田内陸の横手やきそばとは違う、男鹿の海をイメージした焼きそばができないものかということで、男鹿市商工会の有志が集まって商品開発が始まりました。麺のこだわりは、昆布とわかめを練りこんでいるところです。噛むと海藻の香りがふわっと香るようにしているんですよ」

佐々木さん「他の麺とは違って綺麗な緑色をしていますね。それにすごい量! 一度に何食分の麺を作っているんですか?」

杉渕さん「いまミキシングしているのは約500食分ですね。緑の色を出しているのはわかめの粉末です。昆布だけではこの色にはなりません。わかめの粉末をちょっと舐めてみますか?」

佐々木さん「抹茶のような濃い色をしていますね。ひとつまみ口に入れただけなのに、磯の香りが口いっぱいに広がって、わかめのフレッシュさが伝わってきます」

杉渕さん「三陸産の国産わかめだからこそ出せる味と色なんですよ。海外産だともう少し色もくすんでしまうし、苦味が出てきてしまいます」

1ロールで125食! 巨大な生地を中太麺に加工

杉渕さん「次はシートにして巻いていきます。このときしっかりと潰すことが麺のコシに繋がるんです。よかったら触って弾力を確かめてみてください」

佐々木さん「さすが125食分の生地! 1ロールがものすごく大きいです。生地の触り心地はしっとりとしていて弾力があります」

杉渕さん「小麦粉は、練ったり潰したりすることで、2種類のタンパク質が結びついてグルテンという物質を作ります。これが麺のモチモチ感の正体です。シート状にした生地は1時間寝かせて空気を抜いてから裁断作業に移ります」

佐々木さん「しょっつる焼きそばを作るときは、麺にどんな加工をするんですか?」

杉渕さん「中太麺でややちぢれさせるようにしています。ちぢれ加工をすることで麺にタレが絡みやすくなるんですよ。この機械で長さ、太さ、ウェーブの加減などをコントロールして、商品ごとに麺の仕様を変えています。1日に2〜3万食を作っているので、製麺機は大切な相棒ですね」

佐々木さん「こうしてスムーズに麺がカットされて、気持ち良く袋詰めされていく様子はいつまでも見ていられますね」

杉渕さん「私自身、自作でオーディオを作るくらい機械いじりが好きなので、製麺機はどれだけ見ていても飽きないですね。ちょっとした故障なら自分で直してしまうほどです(笑)」

秋田県民にはお馴染み! ツルッとした口当たりの「ざる中華」

完成した麺は、タレと一緒に包装して飲食店やスーパーなどの販売店に送られていきます。ラッピング専用の機械が並ぶ部屋に入ると、男鹿 しょっつる焼きそば以外にも、中華麺のパッケージが並んでいました。「懐かしい。よくこれ食べていました!」と、秋田県出身の佐々木さんが手に取ったのは「ざる中華」。県内のスーパーで広く販売されていて、地元の人々にはお馴染みの、まさにソウルフード。

「しょっつる焼きそばと同じく、わかめの粉末が練りこまれており、翡翠色の麺になっています。つるつるとしたのどごしの中華麺をかつおぶしの効いたつゆにつけて食べてもらう、ロングセラー商品です」(杉渕さん)

八郎めんの製造する麺は国内外を問わず、さまざまなバリエーションがありました。これまでに手がけてきた商品の一部を杉渕さんに紹介してもらいました。

「ゴジラ生誕65周年を記念して『ゴジララーメン』をプライベートブランドで商品化しました。男鹿半島には、ゴジラ岩というその形がそっくりな岩があるんですよ。真っ黒なスープに、赤い麺が特徴の商品でした(現在は販売終了)。また、ハワイで人気を博しているサンヌードルの『LILIHA SAIMIN』の麺も私たちが作っています。こちらは細めの乾麺になっています。太さや長さの調節、ちぢれや手もみ加工、生麺、乾麺など、自在に作ることができる工場を持っているので、どんな発注にも応えられるのが八郎めんの強みだと思っています」(杉渕さん)

麺をモチモチにするミネラルをたっぷり含んだ寒風山の湧き水

杉渕さんに、男鹿で製麺業に取り組む意義を尋ねると「この地は水源が豊かで、麺が美味しくなるんです」と話してくれました。

「八郎めんで使っているのは、男鹿半島の付け根にそびえる寒風山の恵みの水です。この成層火山に降った雨や雪解け水は約20年かけて自然に濾過されて地表に沁み出すと言われています。火山内部を流れるあいだにゴミなどの汚れが取り除かれるだけでなく、ミネラルを豊富に含んだ水になります。この水が麺作りにはとても相性が良いんですよ」

長い年月で培われてきた知識と技術、男鹿の湧き水という大地の恵み。そして、さまざまな企業とコラボし、次々に新たな製品を作り出そうとする杉渕社長の意欲的な姿勢が、八郎めんを発展させてきた原動力なのです。

「いま構想しているのは、健康志向の麺。ラーメンと健康というのはなかなか結びつきにくい分野ではありますが、そこに挑戦してみたいですね。ただ、言葉にするのは簡単ですが、麺に栄養素を含ませるというのは至難の業なんです。麺を茹でる過程で、お湯のなかに栄養が放出されてしまいますからね。それをカバーする方法を考えているところです」

バイタリティ溢れる杉渕さんは、八郎めんの社長業だけでなく、実は秋田県水上スキー連盟の会長や、船越商店会の会長、そして男鹿市観光協会の副会長も務めています。「せっかく男鹿に来ていただいたのだから、これから男鹿の名所を案内しますよ」という杉渕さんのお言葉に甘えて、男鹿半島の名所とグルメを案内していただきました。

観光協会副会長オススメの男鹿半島ツアーへGO!→次のページへ

「男鹿 しょっつる焼きそば(4袋)」を、3名様にプレゼント!

今回ご紹介した「男鹿 しょっつる焼きそば」を合計3名様にプレゼント。

下記応募要項をご覧いただき、ふるってご応募ください。

応募要項はこちら

※価格などの情報は取材時のものです。

※取材当日は充分な感染対策を行った上で撮影しています

撮影/吉澤健太 取材・文/小石原悠介

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