紀伊半島
“リノベ”で新発見「第二のふるさと・奈良」
奈良県にどんなイメージをお持ちですか? 東大寺をはじめとする寺社仏閣、古の都・平城京、せんとくん…。歴史好きにはたまらない観光スポットにあふれる一方、昔から広大な山林の木材や加工品、製材業などで栄えてきた林業の都でもあります。
そして近年、社会のIoT化にともない、山林資源を活用しながら観光・居住地としてアップデートする新たな試みが県内のあちこちでおこなわれているんです。県外からの移住者や訪問者のアイデア&ニーズを積極的に取り入れてリノベーションされたサービスを体験すれば、きっと奈良が「第二のふるさと」に思えてくるはず!
フランス発祥の樹上アスレチックで植物公園をリノベした「空中の村」
フランス人移住者の青年、ジョラン・フェレリさんが起業し、母国にあった森林活用の施設をヒントに建設されたアウトドア施設「空中の村」。2020年、十津川村「21世紀の森・紀伊半島森林植物公園」の樹上に誕生しました。
本場フランスの樹上施設でもポピュラーなトランポリンやツリーハウスに加え、ジョランさんが考案した樹上のカフェや読書スペース、展望台などをフランスから職人たちを招いてオーダーメイドで作り上げました。アクティビティはもちろん、樹上からの眺めを楽しみながら喫茶や読書で憩うこともできます。
また、車で20分ほどの距離には十津川温泉があり、ステイしやすいのも◎。大人の休日に、新しい森の楽しみ方を体感してみよう。
「鳥かご」と名づけられた樹上ネットのトランポリンは、童心に帰って、ついはしゃいで飛び跳ねたくなるスポット ネットをハンモックに見立てて、ゆったり読書ができるスペースも パーク内は足元がネットになった“橋”を渡って移動する。こちらは「グネグネ橋」というセクション 「空中の村」の元になった、フランスの森林活用施設 河川沿いにある十津川温泉は、湯船から四季の移ろいを感じることができる。雪が降れば、村自体が幻想的な雰囲気に覆われる(写真は「庵の湯」)
- 「空中の村」
- ・住所/奈良県吉野郡十津川村大字小川112 21世紀の森
- ・営業時間/9:00-17:00(受付は16:00まで)
・営業期間/3月1日~11月30日 - ・休み:火曜、雨天、8月20日の慰霊祭
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荘厳な滝と”鬼の子孫”で山ガール&歴女に人気「前鬼の里」ハイク
日本の滝百選にも選ばれた、下北山村イチの人気スポットが「前鬼・不動七重の滝」。滝がダイナミックに山間を流れ落ちる遠景のフォトジェニックさと、近くで感じられるマイナスイオンが、山ガールをはじめ女性観光客に人気です。
全景が見える展望スポットまで、国道169号から分岐した村道を車で行き、目印の看板から谷底まで降りれば、原生林の中に遊歩道が出現。30分ほど歩けば、三段目の大滝の前「展望所」にたどり着きます。看板まで戻ってさらに村道を車でのぼり、車止めゲートから歩いて40分ほどで、宿坊(しゅくぼう)がある「前鬼(ぜんき)の里」に到着。
その名は、飛鳥時代に実在した呪術者・役行者(えんのぎょうじゃ)が、悪さをする「前鬼・後鬼」という鬼の夫妻を諭して弟子にし、この地に住み着かせたという伝説に由来します。その鬼夫妻の子孫といわれる人が宿坊の管理人を務めていることから、歴女たちにも注目されています。展望スポットから車で行ける温泉施設もあるので、聖なる山ハイクで日常のけがれを落としてみては。
「展望所」までの遊歩道は、片手に原生の森、もう片手に前鬼川の清流が続く 清麗な水が流れ落ちるポイントは、エメラルドグリーンの滝壺から立ち上るマイナスイオンにあふれている 国道169号から村道に入り車で30分、車止めから40分ほど歩けば、“鬼の伝説”を継ぐ「前鬼の里」の宿坊が。トレッキングシューズなど、きちんとした準備をして向かうべし 前鬼の里からさらに山道を20~30分行くと、樹齢200年ともいわれる「前鬼のトチノキ巨樹」が群生している森に。写真の樹はウロの中に入れるフォトスポットとしても有名 存分にハイキングを満喫したら、滝の展望スポットから車で20~30分下った、複合施設にある「下北山温泉きなりの湯」で疲れを癒そう
- ●「前鬼・不動七重の滝」はコチラ
- ●「前鬼の里」はコチラ
- ●「前鬼のトチノキ巨樹群」はコチラ
- ※前鬼の里ハイクには、山歩きの準備をおすすめします
- ●「下北山温泉きなりの湯」はコチラ
古民家を活用した交流の場で育む地元の人との絆「おしゃれリノベ施設」
奈良県では積極的に観光客や移住者、企業の誘致がすすめられており、遊休化していた建物をリノベして、木のぬくもりを感じる宿泊・サテライトオフィス用の施設として再生しています。
下北山村の山村留学施設を改装して作られた「BIYORI」では、コワーキングスペース〈写真・上〉とレンタルオフィスを3部屋提供。そこでは都会の喧騒から離れて仕事ができるだけでなく、集会所のような気軽さで無料利用(90分未満は無料)に訪れる地元の人たちとの交流が生まれ、新しい人間関係が築かれているそう。
BIYORIの近隣には、1Fが交流スペース、2Fが宿泊施設になった「むらんち」が。かつてお好み焼き屋だった建物を、ひとりの女子大生のアイデアから、慶應義塾大学や大阪工業大学の学生・講師たちの協力のもとリノベされ誕生した施設です。
さらに十津川村には、常設・特設の展覧会を開催しているリノベ古民家として、アート作品に囲まれながら泊まることのできる文化芸術拠点「noad」があります。県外からの訪問者やアイデアマンと地元の人が交わる場所で、新たな絆を探してみませんか。
BIYORIの外観は、海辺のウッドデッキを連想させるような、おしゃれな造り 2020年にオープンした移住交流体験施設「むらんち」 「むらんち」1Fの交流スペース奥にあるキッチンは日当たりも◎。木の温かみで、新たな絆が生まれる瞬間を歓待 「むらんち」は学生団体所属の女子大生が発案し、2大学の生徒・教授たちが協力してDIYで改装した 石塀など、元来の古民家のよさを活かしながらリノベされた「noad」。名前の由来は「road(道)」と「node(結節点)」だそう 室内のいたるところにアート作品が。屋外で体感するアートイベントなども開催 ほっとするような雰囲気は、元が古民家だからこそ。有料オプションで朝食・昼食・夕食・バーベキューセットを頼むこともできる
- コワーキングスペース「BIYORI」
- ・住所/奈良県吉野郡下北山村浦向24-1
- ・営業時間/火~金曜9:00-17:00(Last in 16:30)
- ※コワーキング利用は90分以上~1日が500円、レンタオフィスは契約のため要お問い合わせ
- ・休み/月・土・日曜
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- 移住交流体験施設「むらんち」
- ・住所/奈良県吉野郡下北山村浦向59
- 詳細はコチラ
- 文化芸術拠点「noad」
- ・住所/奈良県吉野郡十津川村大字竹筒232
- ・営業情報/宿泊料金(一棟貸し)1人1泊¥11,000(税込み)
- ※2人目以降は1人1泊¥5,500(税込み)を人数分加算
- 詳細はコチラ
※価格などの情報は取材時のものです。