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ペニンシュラ応援大使・五木ひろしさん
“北前船の寄港地”に思いを寄せて

歌手・五木ひろしさんのふるさとは福井県の美浜町。隣町の敦賀は北前船の寄港地でした。「日本海に面した港町の文化が僕の原風景」とおっしゃる五木さんに、北前船への思い、そして故郷の美味しい名産品について語っていただきました。

北前船のロマンに、歌手人生を込めています

幼いころから10代で歌手を目指して上京するまで、目の前に若狭湾の澄んだ海と白い砂浜が広がる美浜町で過ごしていました。隣町の敦賀は北前船の寄港地で、栄華を築いた船主たちの集落が、当時の面影をたたえたまま残っています。

そんな港町で育ったご縁から、2022年5月に新曲「北前船」をリリースしました。北前船といえば、江戸時代から明治の半ばまで様々な商品を売り買いしながら、大阪と北海道の間を日本海回りで航海していた歴史ある商船。各地の半島や海沿いの寄港地で「安い」と思う商品があれば買い、その品が必要とされる港で高く売ることで、一攫千金も夢じゃなかった。そのために命をかけて荒海に向かっていった男たちのロマンを、50年以上に及ぶ僕の歌手人生を込めて歌い上げました。僕にとっては初めての勇ましい「男歌」。それだけに、歌い終わった後の爽快感も格別でしたね。

北前船は、物だけでなく様々な文化も運んだんですよ。民謡もそのひとつです。九州が発祥の「ハイヤ節」を北前船の船乗りが覚え伝えて、新潟県の「佐渡おけさ」になったとか。もちろん、各地の食文化も運ばれました。たとえば、敦賀は昆布の加工食品が名産ですが、そもそもは北前船で北海道から昆布が運ばれてきたことがきっかけです。僕の実家でも、昆布の味噌汁や佃煮などが毎日のように食卓に並んでいましたね。お気に入りのとろろ昆布おぼろ昆布は、今でも東京の自宅に取り寄せています。

越前ガニをさばくのは、僕の大事な仕事

東側に半島が伸びる敦賀には、他にも美味しいものがたくさんあります。木之芽川や黒河川で釣れる鮎の甘露煮や、敦賀港で水揚げされる越前ガニはその代表格。毎年11月に漁が解禁になると、地元の親戚がうちに越前ガニを送ってくれるので、「そろそろだな」と毎年楽しみにしています。このカニをさばくのは実は、我が家での僕の大事な仕事なんですよ。大小10杯ほどのカニの足を1本1本ハサミで切って、1時間以上かけて黙々と身をほじくり出していく。一切、料理はしませんが、この作業だけは誰にも任せられません! そうやって僕が1時間以上かけてほじったカニの身を、女房と子どもたちが3分で完食しちゃう(笑)。まあ、それだけ美味しい証拠なので、「越前ガニのためならエンヤコラ~」ですけどね。

福井県に限らず、コンサートで全国を回っていると、それぞれの土地ならではの郷土料理や美味しい名産品に出合います。特に、各地に点在する半島には美味しいものが盛りだくさん。なのに、年々、高齢化が進んで人口が減り、深刻な問題を抱えている地域も多いと聞きました。2022年6月に「ペニンシュラ(半島)応援大使」に任命していただいたのを機に、僕も何かお役に立てればと考えています。33年前から故郷の美浜町で開催している「美浜五木ひろしマラソン」のように、各地の半島の方々と一緒になって、僕の歌と、それぞれの地域の美しい景色や美味しいものをみなさんに味わっていただけるイベントを、ぜひ企画していけたらと思っています。

  • PROFILE
    1948年生まれ。福井県美浜町出身。‘64年、歌手デビュー。’71年に発表した「よこはま・たそがれ」の大ヒットで、ミリオンセラー歌手となる。NHK紅白歌合戦50回連続出場の他、日本レコード大賞“大賞”受賞など、数々の賞に輝く。紫綬褒章、朝日小綬章受賞。新曲「北前船/港町恋唄」は半島に縁の深い歌。

「北前船/港町恋唄A・B・C」

「北前船」海に生きる男たちのロマンが込められた北前船をテーマに、一攫千金の夢を追う船乗りたちの雄々しい姿を力強く歌い上げた「男歌」。カップリング曲の「港町恋唄」は北前船の寄港地60カ所を歌詞に盛り込んだ抒情的な曲。A、B、Cそれぞれのバージョンで登場する寄港地の地名が異なる。2曲とも、上総優のペンネームで五木さんが作曲を手がけた。画像は「A」バージョン。

撮影/嶋野 旭 取材・文/内山靖子

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