南房総半島
関東のリゾート地・南房総の絶景を独り占め!
東京から車で約1時間30分。千葉県の南房総半島には、青く広がる豊かな海やノスタルジー漂う海岸線だけでなく、ハイキングを楽しめる花畑や岬や山々など、見どころが盛りだくさん。JALふるさと応援隊の千葉担当・工藤夢花さんと関東のリゾート地・南房総の魅力をさらに深掘りしてみました。
切り立った石壁が迫力満点! 石切場のおもかげを残す鋸山
富津市金谷港のそばにある見波亭でのこぎり山バウムクーヘンを堪能した後、やっぱり観に行きたいのが名前の由来ともなった鋸山。
正式名称を乾坤山(けんこんざん)というその山は、凝灰岩(ぎょうかいがん)からできており、江戸時代から1985年(昭和60年)まで房州石(ぼうしゅういし)という石材の産地として有名でした。堅くて加工しやすく、耐火性に優れているこの石は、建築用の材料として重宝され、横浜港や、靖国神社の塀下、早稲田大学の石塀にも使用されたといいます。山肌や稜線がギザギザに見えるのは石切場跡地のため。これがノコギリのように見えることから「鋸山」と呼ばれるようになりました。
鋸山へ登る道筋はいくつかありますが、せっかくなら鋸山ロープウェーを利用してみてはいかがでしょう? 金谷港から車で約5分の距離にある山麓駅が出発地になっています。山頂駅に到着するまでの約4分間は、眼前に迫るダイナミックな石壁や、東京湾を見渡せる広々とした海景を楽しむことができます。
「鋸山の山頂駅の屋上には展望台があって、360度の大パノラマを堪能できます。館山へ延びる海岸線の美しいカーブは麓では見ることができない絶景です。運がいいと、伊豆諸島の新島、利島、大島も館山の先に並んで見えるそうです」(工藤さん)
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森の中に現れる切り通しの道が神秘的 旅の安全を祈る百尺観音
鋸山の大部分は「日本寺」というお寺の境内となっています。その面積はなんと33万平方メートル。これは東京ドーム約7個分の広さに相当します。日本寺の歴史は古く、約1300年前、聖武天皇の勅命を受けて、奈良の東大寺の大仏造立にも深く関わった行基によって開かれた関東最古の勅願寺だそう。
展望台からしばらくなだらかな山道を散策していると、石壁を切り通しにした道が。その先を進むと、高さ100尺(約30メートル)もあろうかという巨大な観音様が立っていました。この百尺観音は、太平洋戦争の戦没者や東京湾周辺の交通犠牲者の供養のために彫られたもので、1966年(昭和41年)に6年をかけて完成した大観音石像なのです。房州石の石切場跡に彫られた石仏は、交通安全の守り本尊として多くの人から崇め奉られています。
「森の木々が綺麗な山道から百尺観音につづく道へ進むと現われる石の壁がすごく神秘的で癒されます。まるでジブリ映画に出てきそうな光景です。長い年月をかけて切り出されてきたことを考えるとすごくロマンがありますよね。その先の広場にあるのが百尺観音。石に掘られている観音様を見るのは初めてだったのですが、その大きさに圧倒されました。自然と手を合わせてしまうありがたさを感じました」(工藤さん)
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思わず足がすくむ! 鋸山の山頂からせり出す絶景の地獄のぞき
その名前がなんとも物々しい「地獄のぞき」。鋸山山頂、石切場跡を眼下にする瑠璃光展望台の一角にスリル満点のスポットはあります。横から見ると絶壁からせり出したオーバーハング状になっており、先端から下をのぞき見ると落差100メートルの断崖からの眺めを楽しむことができます。この絶壁、自然のものではなく石切職人の遊び心により生まれた産物なのだとか。
「百尺観音のある広場から地獄のぞきの岩が見えたのですが、突き出した足場が崩れそうに見えて『あそこに行くのか〜』とゾクゾク。いざ、目の前にすると最初はやっぱり足がすくむようなスリルがありましたね。恐怖心に打ち勝つことができれば、むしろ天国のような景色を堪能できますよ。地獄というなら、地獄のぞきのある展望台に登る山道の急坂のほうがよっぽど地獄かもしれません(笑)」(工藤さん)
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鎌倉の大仏の2倍のサイズ 日本一大きい日本寺の薬師瑠璃光如来
日本寺にある大仏・薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)は、約31メートルという日本一の大きさを誇っています。これは、鎌倉の大仏の約2倍のサイズというのだから驚きです。原型は、1783年に大野甚五郎英令という名工とその27名の門弟が3年を費やして彫刻しましたが、江戸末期になり風化により崩壊。1969年に一枚岩を彫刻して復元されました。
薬師瑠璃光如来は人々を病から救う仏様で、左手には薬の壺を持っています。その薬は、体の病だけでなく、心の病や社会の病まですべてを直してしまうありがたいお薬とのこと。
「展望台からのルートもありましたが、今回は最短距離である日本寺東口管理所から大仏を観に行きました。日本一の大きさというだけに目の前にするとやはりすごく迫力がありました。太陽に照らされた大仏様はとても神々しい雰囲気がありました。何をお祈りしたかは秘密です(笑)」(工藤さん)
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アスレチックのような展望塔が目印 富士山も一望できる富津岬
千葉県富津市から東京湾に突き出したくちばしのような形の富津岬。この岬は、富津市の北側に流れる小糸川によって運ばれた土砂が、南方向の沿岸流のため細長く堆積してできた洲であるといわれています。
幕末から1945年(昭和20年)の終戦の年まで、この地は首都を防衛する最前線でした。岬の突端にある明治百年記念展望塔はこの一帯を見渡せる絶景スポット。明治100年を記念してつくられた五葉松の形をした展望台です。頂上まで登ると、明治から大正にかけて作られた海堡(かいほう)を見ることができます。海堡とは、砲台を設置するために作られた人工島のことで、この地の歴史を伝える遺産になっています。
「明治100年記念展望塔はアスレチックのような見た目が興味をそそられますよね。景色がいいのはもちろん登るのも楽しい展望台でした。岬からは対岸の東京や横浜だけではなく、天気がよければ雄大な富士山も見られるということで、是非訪れていただきたいですね。近くには、海水浴場やジャンボプール、キャンプ場などがある県立富津公園もあるので、大人数で来ても楽しめる場所だと思います」(工藤さん)
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